ノルン

【解説】
 北欧神話に登場する、運命の三姉妹。ノルンは三姉妹の総称。長女ウルドは過去,次女のヴェルダンディは現在,三女のスクルドは未来を司っています。また北欧神話(新エッダ)ではそれぞれ「高貴な者」「同様に高貴な者」「三番目の者」と呼んでいます。
 彼女たちは世界樹ユグドラシルの根元にある「生命の泉」ウルダルブルンヌルの水源にある洞窟に住んでいるとされています。ユグドラシルは北欧神話の中で重要な位置にあり、世界の中心にあり世界の全てを支えている大木です。そんなユグドラシルの世話をしているのがノルン三姉妹です。このユグドラシルが枯れてしまうと当然世界が滅ぶ訳なので、そのような意味において、ノルンは時と共に世界全ての命運を任されているとも言えます。その為か、スカンジナビアの人々は彼女たちのことを「運命を支配する姉妹」と呼ぶそうです。
 三姉妹の女神はノルン以外にも各地に存在していまして、そもそもノルンはその各地の神話に登場する三姉妹女神達(特にギリシャ神話のモイライ三姉妹)の影響を受けている、あるいは与えているとされています。それ以前に、神話や民話では「3」という数字はよく使われる数なので、影響などとは無関係なのかもしれません(余談ですが、ギリシャ神話では数多くの三姉妹が登場しています。モイライ三姉妹の他には、ハーピィ三姉妹やゴルゴン三姉妹などが有名です)。
 ノルン三姉妹は全ての時を司る存在として、人々だけではなく全ての神々に恐れられている存在です。なぜならば、時という運命からは神々すらも逆らえないからです。
 しかし一部では妖精的なとらえ方をする者もいて、シェイクスピアの「マクベス」に登場する三人の魔女や「クリスマスキャロル」に登場する三人のクリスマスの精霊などは、妖精的なノルンをモデルにしていると言われています。コミック(アニメ)「ああ女神さまっ」も、妖精的なノルンを取り入れた一例といえるでしょう。

【設定】
 この話は、「名前だけ有名になった女神」というくくりで三つの話を書き上げた内の一つ。ですが内容そのものは随分前から考えていた物です・・・というか、随分前から悩まされている物です(笑)。余談ですが、Play Wordというコーナーにて、同じくノルンを題材にした詩(ノルンの階段)をアップしていますが、公開順はこちらの方が先でしたが書き上げたのはあちらの詩の方が早かったです。
 解説にちらっと名前が出ましたが、ノルン三姉妹に近い三姉妹として、ギリシャ神話に登場するモイライ(モイラ)三姉妹(クロト,ラケシス,アトロポス)がいます。彼女達は「真・女神転生3」に中ボスとして登場しましたので、ゲームをプレイさせた方は強烈なインパクトを受けたかと思います。
 個人的に、同じ過去現在未来の話なら、ノルンよりも「クリスマスキャロル(チャールズ・ディケンズ著)」という短編が好きです。この話には、過去,現在,未来のクリスマスの精霊が登場し、クリスマスが嫌いな高利貸しの主人公に接触していくのですが・・・という内容。映像化もされていますので、そちらなり小説なり、是非一度ご覧あれ。

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