焔姫

焔の翼を身にまとい
姫は何をする人ぞ?
焼けた翼で飛び立つや
空は赤々(あかあか)焼け焦げる

焔の嘴(くちばし)身につけて
姫は何をする人ぞ?
焼けた嘴突き立てや
木々は赤々焼け焦げる

焔の瞳を身に宿し
姫は何をする人ぞ?
焼けた瞳で睨むなや
心は赤々焼け焦げる

焔の姫に近づくな
焔の姫に近づくな
全てを焼かれ、燃え尽きる

焔の姫に寄り添うな
焔の姫に寄り添うな
全てを見抜かれ、燃え尽きる

ああ焔の姫君よ
あなたは何を思うのか
焔を纏う姫君は
私を見ておられるか?

焼けた翼に涼しい風を
焼けた嘴抱きしめて
焼けた瞳に潤いを
身を焦がしても捧げたい

ああ姫君よ姫君よ
私の心は焼けもうす
あなたを思うと焼けもうす
我(われ)の心に焔を灯し
姫は何をする人ぞ?

誇り高き姫君よ
あなたの孤独を癒したい
そう願う我は傲慢か?
姫君よ姫君よ
どうか哀れなこの者に
答えを示してもらえぬか?
焼け尽きた心が答えでも
我はそれでもかまわない
あなたの焔に抱かれるならば
こんな幸(さち)は他に無し

焔を纏う姫君は
今宵も一人でいるだろか?

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