novel

No.3 息詰まる殺人者

 物事は、仕切り直せばやり直せる。確かにその通りだ。
 だが、これは「最初から」全てをやり直すという事ではない。
「ふぅ・・・はぁ・・・」
 幾分か回復してきたが、ZER0の体力は消耗したままだ。身体の外傷はテクニックやアイテムで回復出来たとしても、内側にある筋肉の疲労などは回復しきれない。
 ZER0は劣勢に立たされていた。かの黒い猟犬を相手にして未だ無事である方が、奇跡に近いと言えるだけに、劣勢でも立っていられるだけたいしたものだ。
 いや、彼を褒め称えるにはまだ早い。
 ZER0はこの状況を打破する為に、一つ大きな賭に出た。
 すぐ側で別の相手と闘っていたESと合流し、二対二の体制から仕切り直すという賭に。
 そもそも合流するその行為自体が賭に近かった。この難題を機転で乗り切り、本題に入ったばかり。彼への評価は、この賭に勝てるかどうかを見定めてからでも遅くないだろう。
「なんだよお前、邪魔なんだよ!」
 この賭、不利な状況に追い込まれたな。
 吠える相棒・・・にさせられた娘を見ながら、生まれ変わったキリークはZER0の賭を憎々しげに褒め称えた。
 個人の能力としては、ハンターの中でも随分と上位に位置するだろう。キリークはZER0の腕前を素直に認めていた。だが、まだまだ自分を満足させてくれるまでにはほど遠い。そう感じていた。
 しかしその評価は、改めざるを得ない。何故ならば、彼の「ハンターとしての腕」は剣術だけの評価に止まらないのだから。
「くっくっくっ・・・良かったよ。早々に貴様を始末しないでおいてな」
 楽しませてくれる。アンドロイド故に表情こそ作れないが、彼は心の底からこの状況を笑った。満足げに。
「はっ、取り逃がしてやったとでも言いてえのかよ。違うな、最初から全て計算尽くの行動なのさ。俺のな」
 肩で息をしながらでは、このハッタリも少しばかり虚しい。そんな自分に苦笑しながら、汗で滑りそうになる愛刀の柄をしっかりと握りしめる。
「わかんない事ごちゃごちゃ言うな!」
 いつの間にか「大好き」な姉との「遊戯」を邪魔されたTSにとって、キリークや邪魔な男の戯れ言などどうでもいい。
 姉を取り戻す。その事しか考えられない幼すぎる妹は、取り戻す為に一人姉に向け爪を振り下ろさんと迫る。
 Ka−chunk!
 そのバカでかい爪を、ESは持ち直した二本の赤い牙、シノワレッドブレードで受け止める。
 Swish!
 その隙に、ZER0が愛刀で斬りつける。深手こそ負わせられなかったが、興奮し姉しか見えていなかったTSはZER0の一太刀を完全に見切る事が出来ず、傷と動揺を負った。
 ESはZER0の作戦が、彼の考え以上に功を奏した事を確信した。
 ZER0の作戦には、二つの意味がある。
 一つは、まず互いが合流する事。もう一つは、チームプレイに持ち込んだ方が有利だと判断した事。
 キリークは相当の実力者。おそらく彼を上回る者など、そういないだろう。上回ると考えられるのは、かの三英雄や赤い輪のリコぐらい。しかし彼らはもうこの世にいない事を考えれば、実質今のパイオニア2ではNo.2の実力と言って良い。もちろん自分がNo.1だから、とESは自分の評価も忘れないが。
 そんなキリークでも、弱点はある。それは自分の腕に絶対的な自信があるが故に、チームプレイを苦手としている事。そもそもチームプレイを必要としないのだから当然なのだが、彼の場合苦手と言うよりは意識しないと言うべきだろう。相手を手助けするとか助力して貰うとか、彼の闘いにそういった考えは全くないのだ。
 チームプレイは単純な足し算ではない。相乗効果の恩恵を知っているZER0は、相乗効果を得られないキリークに対抗する手段としてESとの合流を考え実行した。この判断は正しかったと、キリークでさえ認めざるを得なかった。
 しかしそれ以上、ZER0の考え以上の効果が現れるだろうと、ESはZER0の作戦を聞いた時から判断していた。そしてその判断が正しかった事を、今のTSを見て確信したのだ。
 TSはESと「遊ぶ」事しか考えていない。しかもESがZER0を気にかける度に嫉妬さえしていた。何より彼女は、自分の思い通りにならない事に対しすぐに激情する「子供らしい」性格を持っている。となれば、邪魔され、姉の近くに別の誰かがいて、そして自分の思い通りに行かないこの状況に、彼女が「キレる」のは当然と言える。
 この怒り狂う女性がESの妹だという事さえ知らないZER0が、ここまで計算していたとは思えない。つまりこの作戦は計算以上の効果を発揮したという事。
(運と勘の良さは、私もキリークも敵わないかもね)
 運も実力のうちだと言うならば、ある意味パイオニア2で一番強い男はZER0かもしれない。ESは暴れ回る妹を軽くあしらいながら、そんな事を考えていた。もちろん「男」の中ではというだけで、自分が一番なのは変わりないという評価も忘れずに。
「落ち着けTS。敵の策略に陥ってどうする」
 元々フォローする気もされる気も無いキリークだったが、この状況では仮にしたいと思っても出来ない状況。むしろTSが邪魔でしょうがない。
「うるさい! みんなみんな、邪魔するな!」
 我が儘な娘は思い通りにならない現状を呪いながら、がむしゃらに爪を振り回す。
 まずTSはESしか眼中にない。ただ闇雲に彼女へ向かっていくだけだ。しかもキリークは組織の「盟約」により、ESに手を出せない。TSの手助けのつもりで鎌をESに向ける事すら許されないのだ。もちろん盟約が無くとも、TSがそれを許さないだろう。
 そうなると、キリークはZER0にしか手を出せなくなる。つまり攻撃対象は以前と何ら変わらないはず。だが、それはこちらの都合だけ。相手はそんなルールに縛られてはいない。
 ESとZER0のコンビは、見事の一語に尽きる。互いに声をかけずとも、互いに何を求め求められているかを心得ている。まるで二人が一つに解け合い、三倍とも四倍ともなった巨大な敵に変貌した、そんな印象すら感じる。しかもキリーク側にとって見れば、その強大な敵の、限られた部位しか攻撃を許されないのは、あまりにも歯がゆい。
 これがまだ自分一人なら楽しめたものを。キリークにとってTSの存在が疎ましい。その疎ましいTSを「削除」する事も出来ないのだから、余計疎ましい。
 撤退しかない。キリークはそう結論を出した。このままでは結果として自分が「楽しめない」のは明白。このままTSが朽ちるのを待ってから楽しむ事も考えたが、それでは組織に戻ってからの言い訳がまた面倒だ。組織はどういう訳か、TSをいたく気に入っているだけに余計。その気に入り様は、キリークに「ESに手を出すな」とTSの我が儘を聞き入れるよう要請した程なのだから。
 しかし撤退するにも、TSの存在が疎ましかった。
 九分九厘、TSは撤退という選択を受け入れないだろう。キリークとしては、「楽しみ」を先延ばしする我慢も心得ているし、なにより新たに見つけたZER0という玩具は、想像以上に化ける可能性を秘めている。ならば尚更、ほどよく熟すまで待った方が得策だ。
 ところが、TSは我慢というものを知らない。まだ青いまま実っている柿の実を強引にかじろうと必死になっている。もし強引にかじりつけば自分の歯がボロボロになるなど、想像も出来ないのだ。
 さて、そこまで強欲な娘をどう諭し撤退するか? 普段なら絶対に考えない戦略を、キリークは電子回路をフル回転させ考えはじめた。
(・・・あまり使いたくない手だが、致し方あるまい)
 プライドを自ら傷つける作戦だったが、キリークは己のプライドより将来の楽しみを優先した。
「優位に立って気を良くしているところを悪いがな、これを見て貰おう」
 ESもZER0も忘れていたわけではないが、しかしまず目の前にいる敵をどうにかしなければならなかったのは間違いなかった。それだけでなく、まさかあのプライドの高いキリークがこのような行動に出るとは思いもしなかったのだ。それを言い訳にするつもりはないが、しかしすぐにでも「本来の目的」を果たすべきだったと後悔させられた。
 キリークの鎌が、眠らされ囚われの身となっているクロエの首に突きつけられているのだ。
「ハハ、やったねキリーク!」
 形勢逆転。TSにもそれは理解出来た。これで自分達の優位に事を進められる。そこまではTSの考え通りだった。
 ただ、キリークはこの切り札をTSの考える「望ましい状況」に持って行く気はない。
「人質を助けたくば・・・撤退して貰おう」
「ちょっ、どういう事さキリーク!」

 人質を盾に、キリークはZER0の参戦を除外し自分と姉を遊ばせてくれるものだと、TSは都合よく考えていた。確かにそれも一つの策だが、キリークはその先も考えあえて「相手側に」撤退させる事を望んだ。
 仮にTSが望む通り、姉妹同士の「遊び」を続けても良いだろう。だがその闘いはすぐに決着が付くものではない。更にZER0がESの元に駆けつけた事を考えると、この場は彼女達の仲間にも知られたと考えた方が良い。つまりZER0の他にまた彼女の味方が訪れる可能性が非常に高いのだ。そうなれば、無事にこの場を切り抜ける可能性が薄れる。人質にした娘も今は眠っているが、そろそろ目を覚ます頃だ。そうなれば余計面倒になる。
 数手先を考える事も、潔く場を離れるのも、戦士には必要な事。
「心配するな。お前達が撤退した後この娘は無事戻そう」
 そして確実に相手が引くように、好条件を突きつけこの場を終わりにする。
 元々ESは、クロエを救出にここまで来た。その目的が果たされるのであれば、無駄に闘いを続けるつもりはないだろう。
「冗談じゃないよ! 折角、折角お姉ちゃんにやっと会えたのにさ!」
 ES達には好条件でも、TSにとっては望みすらしない状況。とてもではないが見方の提案を受け入れるつもりはない。
「・・・クロエを無事戻す保証は?」
 当然だが、このまま人質を素直に解放する保証など無い。このまま人質を確保し続け、再戦を望んだっておかしくないのだから。
「俺のプライドと鎌にかけて」
 当てにならない保証を突きつけるキリーク。
「・・・いいわ、信じましょう」
 だが、彼の言葉に偽りはない。そうESは判断した。
 そもそも、このような作戦に出るだけでも驚いているのだ。それだけ、キリークはプライドの高い男。その男が己のプライドと唯一信じられる相棒にかけると言い出したのだ。
 嫌悪する程憎く、そして許せない男ではあるが、全てを疑うような幼稚な考えなどESは持ち得ない。
 敵の強さを素直に認めなければ、自分が不利になるだけ。同様に敵の認めるべき所は認める必要がある。キリークの場合、それがプライドである。
「ふざけるな! 僕は認めないぞ、認めないんだから!」
 二人で勝手に話が進む。蚊帳の外に投げ出されたTSは、それが許せなかった。
「なんだよ、なんなんだよ! くそぉ!」
 望まない状況へ流れていくこの場に、TSは我慢出来なくなっていた。
「お前だ、お前がいなければこんな事に!」
 全ての元凶。TSはZER0を睨み付け吠える。
 そして、巨大な爪をZER0目掛け振り下ろそうと高々と上げた。
 Bap!
 しかしその爪は、ZER0の頭上に下ろされることなく、弱々と下げられた。
「・・・申し訳ないが、そいつをそのまま置いていく事も条件に加えさせて貰う」
「構わないけどね、だったらこの娘を連れてあなたが引きなさい。その方が手間も省けるわ」

 激情に突き動かされただけのTSは、隙だらけだった。この機を逃すことなく、ESはTSの腹部を強打し、気を失わせていた。
「ただ人質交換の条件として、こちらも一つ提案させて貰うわ」
 姉は妹を盾に、キリークへ一つ約束を取り付けた。
「・・・よかろう。これでまた、貴様らと対峙する好機が遠のく事になりそうだが、どうせならこのような面倒など無く殺り合いたいものだからな」
 それは出来る限り勘弁して欲しいと、ESとZER0は心底願ったが、その願いは聞き届けられない。そんな予感がしていた。
 予感と言うよりも、宿命と言うべきか? またこの男とは死闘を繰り広げるだろう。漠然と、しかし妙な確信を三人は感じている。だからこそ、キリークはESの条件をのんだのかもしれない。
「・・・子供の面倒など押しつけられるとはな。組織も困った連中だ」
 気を失ったTSを抱え上げ、キリークがテレパイプで帰路を生み出しながら愚痴る。
 ES達は黙ってキリークを見送り、そして彼の姿が見えなくなったところで大きな溜息をついた。
「クロエ、クロエ!」
 ちょうどその時、人質となった妹を助けに彼女の姉が部屋に飛び込んできた。
 どうにか無事に救出出来た事を告げられたアナは、礼もそこそこに妹の元へと駆け寄る。
 本来の姉妹は、こうあるべきなのに。
 大粒の涙を惜しげもなく流し、しっかりと、しかし優しく妹を抱きしめるアナを見つめながら、ESは瞳を潤ませていた。
 この涙は、何なのだろうか。その涙が意味する物が感動なのか安堵なのか、それとも妹に対する哀れみなのか不安なのか、今のESには判断が出来なかった。

「なんだよ、折角の、折角のチャンスだったのに!」
 目を覚まし真っ先に、TSはキリークに噛みついた。
 あのままでは勝ち目はなかった。そう説明したところで聞き入れはしないだろう。この少女を納得させる術など、あるのだろうか?
 かといって、このまま喚き続けられるのも迷惑な話だ。
「だいたい、あの男をすぐに殺らないキリー・・・」
「少し黙れ」

 説き伏せる事は苦手だが、黙らせる術は知っている。
 キリークは鎌の刃を、素早くTSの喉元に軽くあてがった。
「良い事を教えてやろう、我が儘なお嬢さん」
 TSは押し黙ったまま、唾を飲み込んだ。さすがに、喉元に刃を当てられるその意味くらい、知っているから。
 いや、喉元の刃が怖くて黙ったわけではない。もっと別の、自分を上回る大きな「物」に怯えたからだ。
 その怯えは、頭で理解したわけではない。本能が心の底から怯えているのだ。
 殺気。その刃物は、どんな武器よりも鋭利に尖っていた。
「俺にとって、組織はどうでもいい。恐れているわけでも従順に従っているわけでもない。ただ俺を楽しませてくれる機会を与えてくれるから、それだけでしかない」
 含み笑いを開かぬ口から漏らしながら、キーリクは続けた。
「あまり我が儘ばかり言うものではないぞ。俺はお前の「パパ達」とは違うのだからな」
 キリークは組織に言われ、TSの側にいる。だが、絶対的な命令として聞き入れる気は、キリークにない。彼が自分の傷害にしかならないと感じたら、躊躇わずTSを切って捨てるだろう。
 それを、TSは理屈ではなく本能で悟った。
 そもそも、キリークはTSがESに勝てるとは思っていない。だからこそ、TSにESとの優先順位を譲ったのだ。むしろESにTSをあてがう事で、ESが更に強くなる事や自分との対決を彼女が望むようになれば御の字。
 TSはESに勝てない、絶対的な理由がある。それをキリークが理解している訳ではないが、理屈として判っている。その絶対的な理由をTSが理解する事になったとしても、心配はしていない。そうなればTSはESを諦めるだろうから。
「いいか、俺のやる事に口を出すな。そうしていれば、お前にもいい目を見せてやる」
 TSは黙ってうなずいた。そうして初めて、キリークは喉元に突きつけた刃と、そして殺気という刃を下ろした。
 この時、TSは生まれて初めて「恐怖」という感情を学んび、そしてESに一歩近づいた。

「いい? もうこんな無茶はしないでよ。お願いだから」
 厳しく、そして優しく、ESはクロエを叱りつけた。
「ごめんなさい・・・」
 結果としてES達の迷惑となってしまった事に、クロエは落ち込んでいた。
 ESとしては、クロエの気持ちは本当に嬉しい。自分達の為に危険を顧みず様々な事をしてくれる気持ちと行動力には感謝している。
 だが、大切な仲間を危険にさらすのはやはり心苦しい。それも相手がブラックペーパーとなれば尚更に心配なのだ。
「ま、クロエにしたってブラックペーパーとなっちゃ黙ってもいられないだろうしよ」
 ZER0がクロエ助け船を出す。事実、クロエにとってブラックペーパーはES達の事を抜きにしても、見逃せる相手ではないのだから。
「ごめんねクロエ、ごめんね・・・」
 妹を危険な目に遭わせたのは自分だ。アナは自分を責めながら、妹への謝罪を泣きながら繰り返した。
 妹は黙って、姉の髪をなで続けている。
 アナがブラックペーパーと知らずに、彼らの計画に足を踏み入れてしまった事がある。その事件は全貌が明らかにされないまま、数名の組織員を捕まえる事で幕となっているが、姉妹にしてみればそれで安心出来る状況にはならなかった。
 相手はブラックペーパー。完全に不安を取り除く事は、不可能に近い。
 ならば逆に、ブラックペーパーを相手に立ち回る事で、不安を隠そうとしていた。本当のところ、クロエはそういう理由でESの手助けをしていると言ってもいい。
 しかし手助けになっても足手まといになってはならない。クロエは自分の身よりもその事が申し訳なかった。
「私達は仲間なんだから、ね、クロエ。アナを巻き込みたくないのは判るけど、私には相談してよ」
 微笑むESを見つめながら、自分はブラックペーパーに睨まれる不幸よりも、彼女に出会えた幸運に感謝すべきだと改めて感じていた。
 この人の力になりたい。今回の失敗を反省しながらも、新たに彼女は誓っていた。
(とりあえず・・・私の事でこの娘達を巻き込む事はなくなったけど・・・)
 ESはESで、慕ってくれる姉妹を巻き込んでしまっている現状を嘆いた。姉妹は自分達がブラックペーパーに関わった事でトラブルに見舞われていると考えているだろうが、少なくとも今回の事はESの諸事情に姉妹が巻き込まれた形。本当に反省すべきは自分なのだとESは痛感していた。
 だが、とりあえず今までよりは仲間に迷惑をかける事はないだろう。
 キリークとの交渉。ESは人質交換の条件をこう切り出していた。
 今後、自分の事で仲間達を巻き込まない事。
 キリークは組織として約束は出来ないが、己自身については約束すると条件をのんだ。
 ただしZER0は除外すると、新たな玩具は手放さなかったが。
(復活したキリークに・・・妹・・・か)
 安堵の涙を流しながら無事を喜ぶ姉妹を見つめながら、ESは思う。
 姉妹とは何だろう?
 家族とは何だろう?
 クローンとしてこの世に生を受けた自分は、それを理解する日が来るのだろうか?
 可愛そうな妹を、自分は家族として迎える日が来るのだろうか?
 答えは見つからない。
 だが、焦る事はないだろう。仲間という強い絆を更に強めた実感を感じながら、今はこれだけで良いと自分に言い聞かせた。

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