novel

No.co3 行方
withチーム「シルバーウェイ」(シーザー)

 パイオニア2には、様々な人が乗船している。
 その多くは、ラグオルというフロンティアへの憧れと希望を抱き、開拓に胸躍らせている人々。しかし当然ながら、全員が同じ理由で乗船しているわけではない。
 例えば軍や政府関係の者達はどうだろう? フロンティアスピリッツよりもまず彼らは、「任務」の遂行を目的としている者が多い。その「任務」の内容もまた、まちまちだろう。
 ではハンターズのメンバーはどうだろう? 彼らは特定の任務を請け負っていない者がほとんどである為、どちらかといえば他の開拓者達と同じ気持ちでいる事が多いようだが、こちらもまた、違う目的を持つ者達も当然ながらいる。
「終わったって・・・どういう事?」
 病院のベッドで半身を起こしながら聞き返したニューマンの少女。リースも開拓ではない別の目的でパイオニア2へと乗船した者の一人だ。
「詳しい事は・・・ただ総督府が爆破原因の究明依頼を取り下げて、新たにラグオル全域の調査依頼に切り替えた事実しかわからないので・・・公式な発表は他にないんですよ」
 チーム「シルバーウェイ」の情報担当であるカインが少しばかり悔しそうに、しかし淡々と事実をチームリーダーである少女に伝えた。
「つまり・・・総督府はもう爆破原因を突き止めたって事だろ。でなきゃ、そんな曖昧な発表するわけがない」
 少女と同じようにハンタースーツを着込んだまま入院していた男、シグマが隣のベッドで状況を把握していた。
 先を越された。その悔しさが、シグマの拳を握らせていた。
「寝ている間に・・・そんな・・・」
 悔しいのは二人の男だけではない。話を聞かされた少女もまた、悔しさに瞳を潤ませていた。
 ラグオルにて建設されたセントラルドームが謎の大爆発を起こした。その原因を突き止めて欲しいという総督府からの依頼をうけ、ハンターズに所属する皆がラグオルへ我先にと乗り込んでいった。
 シルバーウェイという名のチームを率いる少女、リースもそんなハンターズの一人だった。しかし、彼女や彼女のチームメイト達は謎の大爆破よりも確かめたいものがあった。それこそ、彼らがパイオニア2へ乗り込んだ理由。
 兄であり、シルバーウェイ本来のチームリーダーであるシルバーを探し出す事。それが目的だった。
「とりあえずラグオルの調査は終わっていないとの事ですから、ラグオルの降下はまだ自由に行えます。シルバーさんを探す手がかりが途絶えたわけではないと思いますよ」
 二人がラグオルで倒れた後も、情報収集と看病を続けていた青年カインは、慰めの言葉を二人にかけた。
 しかしそれでも、ベッドの上にいる二人はまだ悔しさを隠しきれなかった。自分達が寝ている間に解決されていた事がよほど悔しかったのだろう。
 ラグオルの「遺跡」と呼ばれている区域を捜索中、二人は急激な頭痛に襲われ、高熱を伴い倒れてしまった。その為急遽入院となったのだが、その間に何者かが事件を解決してしまったのだ。自分の不注意でリタイアとなったのならばまだ納得いくだろうが、訳のわからない頭痛と高熱が原因といわれても、納得が出来るはずもない。
「でも、あの爆破原因が・・・お兄ちゃんを捜す手がかりになったはずなのに・・・」
 兄シルバーはパイオニア1に搭乗していた。その為セントラルドームの爆破に巻き込まれた可能性が高い。つまり兄の行方を捜すならば、爆破原因を突き止めるのが近道。そう判断し総督府の依頼を進めてきていたのだ。にもかかわらず、総督府は急に依頼を取り下げた。リース達にとっては手がかりを取り上げられてしまったに等しい。
 こらえていたものが、あふれ出し止まらない。
 うつむく頭からさらりと伸びる銀髪が、潤うライトグリーンの瞳を覆い隠していた。
「なぁカイン。原因を突き止めたハンターってのは誰なんだ?」
 先に手柄を立てられた憎き相手・・・というわけではないのだが、気になるのは確か。そして何より、重要な事がある。
「そいつらが・・・もしかしてシルバーさんの行方を知っているかもしれない」
 リースはシグマの言葉にハッと顔を上げた。
 確かに爆破原因を、シルバーの手がかりとなる爆破原因を自分達で突き止められなかった。だがそれを突き止めた者達ならば、シルバーの行方に心当たりがあるかもしれない。
 ぷつりと途絶えたと思われた手がかりという糸は、姿形を変え残されていたのだ。
「そもそも総督府は爆破原因について何も発表していませんからね・・・」
 カインの言葉に落胆する二人。だが続く言葉にこそ、本当の希望があった。
「ただ、タイレル総督と個人的な繋がりがあり、且つ実力者でもあるハンターならいますよ。噂では彼女が事件を解決したと・・・」
 その者の名はES。黒の爪牙という二つ名は、リースもシグマもよく知っていた。

 黒の爪牙と呼ばれるESと接触を図ろうとしたのは、今回が初めてではない。パイオニア2に彼女が搭乗しているという話を聞いてから、リースは何度か彼女に近づこうとしていた。
 なぜならば、彼女はあのレッド・リング・リコの恋人だったと噂されていたのだから。
 シルバーはリコと面識がある。リースはそれを兄から直接聞いていた。もちろん親しいと言うよりは顔見知り程度だが。
 さしてリコと繋がりがあるわけではないのだが、しかし手がかりが皆無の現状では、そんな藁をも掴みたい。そのリコも今現在行方不明なのだが、そのリコと繋がりがあるESはパイオニア2にいる。
 シルバーからの繋がりを考えれば、ESは藁どころか稲穂の殻にも等しい。その為何度か接触を試みたものの、なかなか接触出来ないESを本腰で探す事は今までしてこなかった。なによりラグオルに到着さえすれば、もっと有益な情報が入るだろう。航海中のリースはそう考えていた。
 誰がこんな自体を、航海中に予測しただろうか?
 有益な情報どころか、シルバーの生存そのものが危うい。ラグオルに到着してからのリースは無我夢中で森を地下をと駆け回り続ける事しかできなかった。結果としてそれも徒労に終わってしまったのだが。
 稲穂の殻でも、掴まなければならない。ここに来てリースは本腰でESとの接触を試みた。
「あなた達が依頼人という事なのかしら?」
 接触方法は至ってシンプル。チームシルバーウェイがギルドを通じてES個人を名指しで指名し依頼する。それだけだった。
 今までもこの方法が使えなかったわけではないだろう。ただこの方法をとる為にはきちんとした依頼内容が必要だった。
「ええ。私がチームリーダーのリースです。彼らはメンバーのシグマ、レイク、カシスです」
 少し緊張気味に、リースは著名人を前にして自己紹介を終えた。
 紹介された著名人ESは少しばかり驚いていた。チームリーダーを名乗ったのがチーム内で一番若いであろう少女だった事に。メンバーとして紹介されたレイクという名のフォニュームが一番年上のようだが、その彼と少女では倍近く年は離れているだろう。少女もフォースの男もニューマンであるために、見た目と実年齢が必ずしも一致するとは限らないが、それにしてもこの差はそう違わないだろう。
「えっと・・・依頼内容は人捜しの手助けって事だったわね」
 動揺を表に出す事はない。さすがに手慣れているESは依頼内容を確認する事で動揺を隠しきった。
「はい。私の兄、シルバーを探すのを手伝って欲しいのですが・・・」
 兄の名を出す事で、リースは期待していた。
 もしかして、シルバーの名に心当たりは無いだろうか?
「・・・それで、あなたのお兄さんの特徴は?」
 期待は虚しく的を外した。
 しかしここで落胆はしていらいれない。特徴を話せば思い出すかもしれない。リースは事細かに兄の特徴を語った。
 身長は185p。
 髪も瞳も自分と同じ色。
 目つきが鋭く冷たい印象を与えるが、自分には優しかった。
 七年間会えないでいる兄。今は思い出の中にのみ生きる兄の姿を、リースは少しばかりも残す事無いよう必死に語った。
 賢明な少女の姿に、ESは自分をダブらせていた。
 七年間会えなかったリコ。彼女を懸命に探していた時の自分は、この少女のように必死に映っていたのだろうか?
 そして同時に、少女を哀れむ気持ちで胸が締め付けられる。
 少女の兄を見つけられる確立は、皆無と言える。
 パイオニア1の人々が消えた理由を、ESは身をもって知っていた。
 ダークファルスに取り込まれていった。その事実を知り得ているのはわずか一握りの者達だけで、今は極秘とされ語る事が出来ない。
 しかし全員とは限らない。事実リコはどうしてかすぐには取り込まれてはいなかった事を考えると、誰かしらまだ生きている可能性もありえる。本当にわずかばかりの希望だが、それでもマシだろう。
 そもそも、可能性が全くないところで、話せぬ真実を知りながらどうやって少女にあきらめるよう促せるというのか? ならば少しでも可能性がある方が、協力するESにとっても気が楽になるというもの。
「元々兄は私達シルバーウェイのチームリーダーでした。その頃の兄は「白銀の牙」と呼ばれていました」
「白銀の牙?」

 聞き覚えのある二つ名に、ESは思わず聞き返してしまった。
「知っているんですか! お兄ちゃんの事!」
 出来る限り丁寧にと努めていたリースも、ESの反応に飛びついた。そう、文字通り飛びついた。
 ESの胸元に飛びつき、必死に揺すりながら尋ねるリースを、チームメンバーが慌てて引きはがした。
「はっ、白銀の牙の名は知ってるわよ。若き天才、白銀の牙でしょ? でも名前ぐらいよ知ってるのは。あなたが「黒の爪牙」について名前だけは知っているのと同じくらいにね」
 知っているのか知らないのか。リースにとってはその二つしかなかった。知っているという事にも度合いというものがあるのだが、リースにとって名前を知っている事はすなわち所在まで知り得ている事と直結させてしまっていた。それだけ自分がせっぱ詰まっていた事に気付き、顔を赤らめ謝罪した。
「なるほどね。「黒の爪牙」なら「白銀の牙」を知っていてもおかしくない・・・そう思って私をわざわざ指名して依頼してきたのね?」
 ESの指摘に、リースはじめチームの皆がうなずく。
 溜息がESの口からわずかに漏れた。
 程度の差こそあれ、ESにとっては珍しい事ではないのだ。あの有名人ならこの有名人を知っているだろう。そう勝手に思われ尋ねられるのは良くある事。
「で、どうする? 私はあなたのお兄さんを知らないから、このまま依頼を引き受けても無意味だと思うけど?」
 確かに、手がかりの一つと思われていたESとの接点は無かった。だが、それだけが今回の接触の目的ではない。
「いや、あんたならこういう人捜しも得意だと思うんだけどな。「黒の爪牙ならではの情報」とかありそうだし」
 リースに変わり、シグマが探りを入れる。
 もしESがあの爆破事故の原因を突き止めた者ならば、何か事故の事情を知っているはずだろ? それを臭わせるようにカマをかけてみる。
「さぁ? 私も所詮はただのハンターだからね。一個人が知り得る情報なんてたかが知れてるとは思わない?」
 しかしそう簡単には乗ってこない。ESとしては、総督府が極秘とした情報をおいそれとは出せない事情がある。当然の事だろう。
「それでも、俺達よりはこういうのに「慣れてる」だろ? 先輩」
 駆け引きは得意ではないシグマは、挑発的な言い方になってしまった事に少しばかり焦りを感じていた。ここで相手が機嫌を損ねたらおしまいだ。
「・・・まぁいいわ。ただし、一度だけよ?」
 見上げる少女の頭をくしゃくしゃとなでながら、ESは依頼を承諾した。
 駆け引きの言葉よりも、有効な手だてというものがある。
 少女の涙がその手だての一つである事を、シグマはたった今学び取った。

 シルバーウェイはメンバー構成上バランスの良いチームだ。
 前線にはリーダーであるリースと彼女を補佐するシグマが立ち、後方では口数の多いフォースのレイクと、対照的に口数が少ないレンジャーのカシスがしっかりとサポートしていた。個々の能力も高く、まとまりのあるチームとして評価出来る。
 だが一点、問題がある。
 チームリーダーであるリースの動きに、無駄が多すぎるのだ。
 瞬発力を活かした彼女の戦い方は、高評価を与えられるほどに良く戦っている。だが一つ一つのアクションが大きすぎる為に、狭い場所では優位に動けなくといった欠点がある。また無駄な動きはすぐにスタミナを浪費してしまうという問題も抱えている。そればかりか、大きく動きすぎるとサポートをする他の面子が援護照準が定まりにくくやりづらくなっている。
 それでも彼女が前線で活躍出来るのは、彼女自身の戦闘力がかなり高く、また仲間達のサポートが的確だからだろう。
 個々の能力が高いが故に補える欠点ではあるが、それ故に欠点を見つめ直し修復する機会を失っている。
 さて、この状況下でESはそれを指摘すべきだろうか?
(人のチームに口出しするのもねぇ・・・)
 的確なアドバイスも人によってはありがたい助言にも余計なお世話にも成り得る。シルバーウェイというチームにとって、どちらに値するのかはESも判断しかねる。チームにとってと言うよりは、個人個人の性格によるのだから。
(ま、リコほど世話焼きする方じゃないとは思うんだけどねぇ。これでもさ)
 愛用のダガーをしまい、もう一つの愛用品である爪、ネイクローを右手に装着すると前線に舞い戻る。
 リースの兄が「白銀の牙」と呼ばれているのに対し、妹のリースは「白銀の爪」と呼ばれている。それは彼女がクロー系の武器「ハート・オブ・ポウム」を愛用している事から名付けられている。
 飾りの大きなリースの武器は立ち振る舞いが派手に見え、質量もある為強力な武器といえる。だがその飾りの大きさはそのまま扱いの難しさに繋がる。そうでなくともすぐに体力を消費するリースにしてみれば、この武器を使いこなすならば無駄な動きで消費する体力を押さえる必要があるはずだ。
 無駄のない戦い方とは何か? ESは言葉でなく、実践でそれを示した。
 攻撃をかわし反撃をする。その一連の動作だけでも二人には大きな違いがある。
 リースの場合、大きくバックステップで完全にかわしきってからすぐさま飛び戻り一撃を加える。
 ESの場合、身体をひねり寸でかわした後にすぐさま反撃の一振りを与える。
 安全度から言えばリースの方が確実だろう。しかしそれには体力を多く消費するだけでなく飛び抜けた瞬発力と脚力を必要とする。瞬発力が無くては、かわしきっても反撃に転じる前に相手が姿勢を立て直してしまう。それを許さずすぐさま反撃出来るのだから、リースの脚力には舌を巻く。しかしやはり、多くの体力を犠牲にしているのは褒められるべきではない。
 ではESのやり方が正しいかと言われれば、YESとは言い難い。無駄な動きがないESのやり方は体力を温存しやすいが、一歩間違えば反撃以前に回避を見誤り攻撃を受ける危険性を多く含んでいる。下手をすれば追撃すら受けやすい。相手の攻撃を見切るだけの判断力と経験があるからこそ可能なのだ。
 無駄を排除するとは、それだけ難しい事なのだ。
 リースのやり方は自分の持つ天性の運動能力を遺憾なく発揮したものだ。それはそれで素晴らしいのだが、しかし発展がない。
「さて、じゃあ次に行きましょうか」
 戦闘後であるにも関わらず、何事もなかったかのように平然と話しかけるES。
「はい・・・はぁ・・・はぁ・・・」
 対して、肩で息をするリース。誰の目からも、二人の差がハッキリと見て取れる。
 すぐにやり方を変えろ、と言われても、すぐに実行出来るものではない。
 しかし同じ系統の武器を使いながらもこれだけの差が生まれる事を、自覚させるには十分だろう。
「さすがというか・・・すげぇよな」
 間近で見ていたシグマが、感嘆の声を上げる。彼も又凄腕のハンターとして名を馳せるだけの実力はある。そんな彼でも、ESの洗礼された動きに見とれてしまう。
「お前とタイマンで勝負したら、どうなるかな?」
 息を整えつつあるリースに、意地の悪い質問をぶつけた。
 長期戦になれば、間違いなくESに分がある。だがリースの尋常でないスピードは一対一の勝負において驚異になる。
「わかんないよ・・・あの人、「本気」出してないもん・・・」
 例えて言うならば、リースの戦い方は個人戦向け,ESの戦い方は団体戦向け。リースの言う「本気」とは、ESが場に応じた戦い方をしていた事を差している。つまり個人戦になった時のESはまた、違う戦い方をするだろうとリースも感じていた。
 それはつまり、ESが場に応じた戦い方をしているのに対して、リースは適応した戦い方をしていないという事だ。その事をリースは苦々しく実感した。
 実感した教訓をどう活かすか。その先はリース次第。
 天性の能力や環境に甘えるのも、悪い事ではない。活用出来る者を活用するのは当然の事だ。ただチームを率いるリーダーとして、自分が置かれている状況を認識しているかどうかは重要だ。
 少なくとも、リースにとってこの経験はプラスになっただろう。ESはそう信じた。

 ラグオルの地下深く。そこには大きな縦穴を一望出来るポイントがある。上を見上げても、下を見下ろしても、先が見えないほど大きな縦穴が。
「ちょうどセントラルドームの真横に位置するのよね、この穴」
 見上げながら、ESが観光地を紹介するような軽い口調で説明をする。
「つまり、この穴を開けた「何か」が、爆破の原因・・・という事?」
 リースの質問に、ESはわざとらしいほどにオーバーなリアクションと共にさぁどうかしらねと答えた。
「で、そこにあるのがリコのメッセージ。あなた達も色んな場所で彼女の声を聞いていると思うけど」
 縦穴近くに置かれたメッセージパックを指さしながら、ESが謎めいた事を語り始める。
「お嬢さんが言うように、この縦穴を爆破原因である「何か」が開けたとすれば、それを見つけたリコは爆破に巻き込まれていない事を証明してるわよね。もっとも森にあった彼女のメッセージから、爆破があった時彼女は森にいた事も判っているんだけど」
 ESに言われるまでもなく、その程度の事はリース達も承知していた。それを今更、何故ESが口にしているのか? その真意がわからず戸惑ってしまう。
「さて、そんなわけで私の仕事もここまでね」
 戸惑っている中に唐突な依頼終了宣言。
「ちょっ、待ってくださいよ! まだ手がかりの一つも見つけてないのに!」
 訳もわからず、リースはただ慌てふためくだけ。そんな彼女を見てESはにこりと微笑んだ。
「手がかりなら今確認したでしょ? それ以上の手がかりとなると、長期にわたりそうだし付き合えないわよ」
 ESが何を言いたいのか、さっぱり判らない。混乱するシルバーウェイの面々に、ESはこう語った。
「パイオニア1の人達は突然姿を消している。原因があの爆破かどうかは別としても、リコのように生き残っていた人もいたのよ。とりあえず手がかりとしてはそれで十分でしょ?」
 物理的な手がかりよりはまず、心にしっかりと持たなければならない手がかりがある。ESはまずそれを確認しなさいと言った。
 希望。何より大切な手がかりは、この一語から。

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