novel

No.16 帰らずの滝

 目が覚めた時には、ベッドに横たわっていた。
「特に異常はありません。主治医が言うには、極度の緊張が続きすぎたことによる精神疲労ではないかとのことです」
 体温計を確認しながら、担当看護婦がESに告げた。
「精神疲労ねぇ・・・」
 今までの偏頭痛も、そしてあの幻聴も、精神疲労によるものなのだろうか?
 それにしては生々しい・・・そしていまだに頭の片隅にこびりつくよう残るあの声・・・
 ココヘオイデ・・・
 思い出すだけで、また頭痛が襲ってきそうになる・・・。
「具合の方はよろしいですか?」
 看護婦が立ち去った後で、Mが心配そうにESの顔色をうかがう。
「・・・心配ないわ。それより、あれからどれくらい経ってる?」
 気を失ってからの時間経過が気になったのは、自分の置かれた環境を理解するためでもあるが、なにより軍と政府の動きが気になっていた。
「半日ほど・・・私達が引き上げたすぐ後で、軍の介入がありました。というより、私達のすぐ後を追いかけていたようです」
 軍もやはり、総督府の解禁令のすぐ後で行動を起こしたようだ。レオの機転により、ES達は彼らの先手をとることが出来たのは幸いだった。
 しかし、こうも考えられる。
 元々政府と軍は密接な関係にあり、総督府の命で調査範囲が限定されているものの、その制限をするよう働きかけたのは母星政府だ。つまり、政府の懐刀である軍は、洞窟エリアへの進入をハンター達より早く行うよう調整することは可能だったはず。
 レオ。彼が全てを握っているのかもしれない。
 レオが手を回したおかげで、ハンター達がイニシアチブを取る事が出来たのかもしれないが、逆にレオがハンター達を利用し、以前BAZZ達が行った「掃討作戦」のように、軍に被害を出さないためにハンター達に先導させた・・・とも考えられるのだ。だとすれば、エネミー情報がすぐに手配できた事も納得できる。
 どちらにせよ、ES達にとってレオは「協力者」であるかもしれないが、少なくとも「味方」と判断するのは軽率だろう。
「お気づきではないと思いますが、あの時、ZER0さんも同様に苦しんでおられました。診断結果もESさんと同じく精神疲労でしたが、彼の方は軽傷だったようです」
「ZER0も?」

 あの偏頭痛は自分だけではなかった。それには様々な驚異をESは感じた。
 あの声は・・・どこかでリコのものだと思い始めていた。だが、なら何故ZER0にも・・・リコと何の繋がりもない彼にも聞こえたのか? そして何故、MやBAZZが無事で、自分とZER0だけなのか・・・。
「ふぅ・・・」
 今は考えるのはよそう。また軽い頭痛を引き起こしそうになったESは、起こしていた上半身を引力に任せるままに、ベッドへと倒した。
「総督への報告は、BAZZさんが代理ですませてあります。そして・・・あの筏の到達地点より先の調査を禁止するとの報告も受けております」
「だろうね・・・ご苦労様」

 Mの看病とBAZZの代理に感謝を述べる。Mは大したことではないと、かぶりを横に振る事で返事とした。
「となると・・・やる事は行動範囲が広くなっただけで同じか。M、ギルドの依頼状況はどうなっている?」
 本来ならば、もう少し養生して欲しいのだが、それを聞き入れるESではない。それを見越していたMは、看護婦が検査を行っている時から既に、依頼状況を端末に映し出し用意していた。
「この依頼はどうでしょうか? ここ最近のハンター失踪事件が絡んでいるようです。既にZER0さんがこの依頼を引き受けるべく向かっていますが、どうせならリハビリついでに協力して欲しいと彼も申しておりましたので・・・」
 すでに回復していたZER0は、以前と同じ状況になる事を見越して行動を起こしていた。その上で、ESが回復後すぐに無茶をしようとするのも予測していたのだろう。自分も無茶をしている事を棚上げし、先に依頼を受けているから来いと、リハビリを強制したのだ。
「あいつがねぇ・・・どーにもあいつの言う事に応じるのはしゃくだけど、まぁ今回は素直に従った方が良さそうね・・・」
 退院手続きをMに任せ、ESはベッドから戦場へと舞い戻った。

「えっと、 はじめまして。ZER0さんですね。私、クロエ・ウェインズと言います」
 白いハンタースーツを身にまとったそのハニュエールは、礼儀正しくお辞儀をするとすぐに話を続けた。
「ウワサは聞いてると思うのですが、お願いしたいのはあの失踪事件のことなんです」
「あの失踪事件ってぇと・・・ハンターが何なんか行方不明になっているって、あれか?」

 ZER0の問いかけに、クロエはこくりと首を振り応えた。
 ここ最近、ハンターが突然行方不明になる事件が多発していた。ハンターがラグオルのエネミーに倒され命を落とす事は珍しい事ではないが、それならばハンターが身につけている端末から、生体反応が無くなった旨をギルドに自動送信されるはずである。だが行方不明になったハンターは、その連絡もなく忽然と姿を消しているのだ。ZER0が病院を退院するまでの短い間ですら、洞窟で行方不明になったハンターが出たという連絡も受けている。
「私にはアナという双子の姉がいて、姉妹でハンターをやっていました。ですが、 アナがある日別のグループと地表に降りたまま戻ってこなくなってしまいました」
 ギルドならともかく、実の姉妹にも連絡なく戻ってこないとなれば、失踪事件に巻き込まれたと心配するのは当然。しかも肉親ならばなおさらだろう。
 しかし事はもう少し大きくなっていた。
「私は自分でも探すかたわら、ギルドにも姉の探索を依頼したのですが・・・お願いしたハンターの方たちも、次々に 行方不明になってしまったというのです」
 ミイラ取りがミイラになる。ハンターの仕事をしていれば、そうなる事もままある事だ。それは自らハンター稼業をしているクロエにもわかっている事だが、自ら依頼した事で行方不明になってしまっては、目覚めが悪いのも当然だろう。
「・・・皆さんの安否も気がかりなのですが、今回のところはまず姉のアナを探し出してほしいんです」
 肉親として、まず姉を心配するのは当然で、そちらを優先して欲しいというのは当たり前の依頼。むしろ失踪したハンターの事まで心配する必要はなく、自分が依頼した後で失踪してしまった事を悔やんだとしても、それは失踪してしまったハンターの責任であってクロエに責任はない。それがハンターというものなのだから。
 それでも失踪したハンターを思いやるのは、クロエの優しい性格の現れだろう。しかしどうもそれだけではないらしい。
「詳しい理由はお話しできないんですが・・・どうかよろしく お願いします」
 詳しい理由。
 この言葉に、ZER0は引っかかった。
 話の流れから、クロエの依頼に怪しいところはない。だがこの一言が、依頼に裏がある事を臭わせていた。優しい性格であろうクロエは、どうやら隠し事が出来ない素直な性格でもあるらしい。
 普段洞察力のないZER0も、女性の事となると鋭くなる。そんな自分の性格に苦笑していた。
「了解。まぁ俺まで失踪する事はないだろうが、万が一の保険は自分でかけるから心配しないでくれ」
 クロエにしてみれば、目の前のハンターまで失踪してしまうのではないだろうかという不安はつきまとうだろう。なんの効力もないかもしれないが、とりあえずは安心するようZER0なりに足りない言葉を並べてみた。
「あぁそうそう。一応心当たりがあったら教えてくれないか?」
 さりげなく、探索する者として当然の情報収集を、依頼人に行う。ほんの少しだけ、クロエが隠している情報の末端でも知る事が出来たらという淡い期待を含めながら。
「姉らしき人を地下洞窟で見たという話も聞きます。あと、私と姉は一卵性双生児なので見た目はそっくりです。それで手がかりになりますか?」
 十分だ、という意味を込めうなずく。
「あああ・・・もう! 何もしでかしてないといいんですが・・・心配です・・・」
 クロエの心配は、どうやらZER0の身よりクロエの「行動」のようだが・・・当たり前だとわかっていても、俺の身はどうでもいいのかと、すねた自分にまた苦笑する。
「ま、心配しないで待ってな。すぐに連れてきてやるからさ」
 片手を軽くあげ、それを探索開始の挨拶としてギルドを後にした。
「さてと、保険をかけないとな・・・ESが目を覚ましていれば良いんだが・・・ん?」
 ギルドを出てすぐに、ESへ連絡を取ろうとしたその時、ZER0は目の前にその連絡相手を見つけ驚いた。
「よぉ、ES。なんだもう退院してたのかよ。だったら連絡くら・・・い・・・」
 背中越しに声をかけた女性が振り向く。
「あっ、いやすまねぇ・・・人違いだ」
 振り向いた女性は、ESではなかった。確かに黒い肌と黒いハンタースーツはESとよく似ていた。しかし髪が全く違う。黒く長い、ウェーブのかかった髪を持つESに対して、勘違いで声をかけた女性は、桃色のショートカットだった。
 背姿からだとしても、いくら肌とハンタースーツの色が似ていたとしても、普通は気が付くだろう。それくらい髪が違う。にも関わらず間違えてしまったのは・・・髪以外は本当によく似ていたからなのかもしれない。そう、言うならば雰囲気。それまでがそっくりだったから。
「ふふ・・・その顔つき、本当に人違いだったみたいね。ベタなナンパかと思ったわ」
 さすがの軟派師も、こんなベタベタなナンパは行わない。だからこそ、勘違いした事も含め、女性の言葉に赤面してしまった。
「すまねぇ。お詫びにお茶でも・・・と言いたいところだけど、これから仕事なんでね」
 普段のZER0ならば、このままベタと思われる事を棚上げしてもナンパへと切り替えるだろう。だがさすがに依頼遂行中にナンパは出来ない。それくらいの分別はZER0にだってある。そしてなにより、あまりにもESに似ている事が、彼の気を退かせてしまった事もあるのだろう。
「あら、残念ね。結構タイプだったんだけどなぁ」
 くすくすと笑いながら、軽く握った拳を口元に当てる。その仕草が何とも色っぽかった。なにより、ESによく似た女性に、冗談だとしても「タイプ」などと言われてしまっては・・・軟派師は不覚にも、照れてしまった。
「・・・それじゃ。今度あった時はゆっくりお茶でも」
 少し慌てて、逃げるようにその場を去ろうとした。
「あっ、ちょっと待ってキミ」
 しかし、それを女性が制した。
「キミ・・・あの失踪事件を追ってるの?」
 女性の言葉に、ZER0は驚き、振り返った。
「そんなに怖い顔しないでよ。ちょっと気になっただけ」
 いつの間にか、ZER0は険しい顔をしていたようだ。慌てて笑顔を取り繕おうとはしたが、それがかえって不自然になったか、目の前の女性はくすりと微笑んだ。
「・・・気を付けてね。それだけ」
 一言それだけを言いくるりと反転すると、手をひらひらと振って別れの挨拶をし、歩き去っていった。その一連の動作は猫のように優雅で・・・やはりESによく似ていた。
「・・・あっ、そうだ。ESに連絡しねぇと・・・」
 後ろ姿にESを重ねたZER0は、ESへ連絡する所だったのを思い出し、慌てて端末を開いた。
 あの女性が何者で、何故自分が失踪事件を追っているのを知っているのか? その疑問は、女性の笑顔の方が印象的すぎて、ZER0は考える余地に入れる事が出来なかった。

 相変わらず、洞窟内は蒸し暑かった。
 しかし事前にこの蒸し暑さに対抗する準備を整える事が出来ただけ、以前よりはまだましだった。それでも蒸し暑いものは蒸し暑い。
「あまり長時間いられねぇな・・・かといって、何処にいるのかわからねぇんじゃなぁ・・・」
 元々我慢強くないZER0は、開始早々愚痴がこぼれる。
「・・・おい!誰か来るぞ。わかってるな?」
「わかってるよ。うるさいなぁもう」

 最初の扉の前に立つと、話し声が聞こえてきた。どうやら他のハンターのようだが・・・最後の女性の声には聞き覚えがあった。ZER0は女性に関しては鋭い。それを自覚しているのか、それとも根拠のない自信なのか、ともかくZER0は確信を持って声の主を特定していた。
「やっぱりな」
 扉を潜った先には、白いハンタースーツに身を包んだハニュエール,クロエが・・・いや、ここにクロエがいるはずがない。つまり、クロエにそっくりだという双子の姉、探していた人物アナがいたのだ。
 あまりにもあっけなく見つかった事に安堵したためか・・・いや、よもやこのような自体は予測も出来なかったのか、不意を付かれた。
 アナが、突然襲ってきたのだ。
「なっ!」
 すんで、アナのダガーをかわす。
「ちぇっ!」
 舌打ちをするアナ。明らかに、アナはZER0を狙っている。
「おいちょっと待て! 俺は君を・・・」
 ZER0が敵意のない事を示すため、武器も抜かずに弁明を試みたが・・・アナの耳には届いていないようだ。
「2対1かよ・・・」
 武器を抜かずに、というのは少々誤りだ。武器が抜けないのだ。アナ一人相手ならまだしも、レンジャーのライフルもが常にZER0を狙っており、二人の攻撃を交わすだけで精一杯。アナの声を聞き、安心して武器を構えることなく扉を潜ったのがこんな形で災いとなるなど、予想も出来なかっただろう。
「このっ!」
 ハンターの武器は、ハンターが同士討ちしないよう、フォトンに加工が施されている。にも関わらず襲ってくるところをみると、アナとレンジャーの武器はそのフォトン加工の装置を外しているようだ。それがわかるだけに、ZER0も避けるのに必死だ。
 何とか全てをかわしきっているが、何時一発を食らってもおかしくないほど、ギリギリのところでかわしている。
 レンジャーの攻撃は援護に徹してZER0の動きを封じているが、正直さしたる援護にはなっていない。おそらくレンジャーの攻撃がアナに当たる事を恐れているからだろう。ZER0はレンジャーと自分の間にアナを誘導し、援護を封じることでアナの攻撃だけに集中する。それでも武器を抜かせてくれない。それほどアナの攻撃はすさまじく、そして正確なのだ。
「どうすりゃいい・・・」
 選択肢に、撤退の二文字が浮かぶ。この状況では、それが最も懸命な方法だろう。しかし、その選択をする必要はなくなった。
「ZER0!」
 思いがけず、援軍が現れたからだ。
「なんだよ、もぉ!」
 毒づきながら、アナはレンジャーと共に逃げ出した。
「あっ、待てっ!」
 Boom!
 慌ててアナを追いかけようとしたが、爆風に行く手を遮られた。
「なにっ!」
 トラップが発動したのだ。
「・・・一面トラップだらけね」
 トラップビジョンを使い確認した援軍が、あたりを見渡して呟く。そのあまりにも多いトラップは、溜息を漏らすには十分な数だった。
「随分早かったな、ES」
 トラップをラゾンデで駆除しながら、援軍の到達に感謝しつつ声をかけた。
「依頼を先に片づけられては、リハビリにならないでしょ?」
 全ての罠を片づけた後で、ESは少し微笑みながらZER0の質問に答えた。
 一瞬、その微笑みが・・・別の女性と重なった・・・そんな錯覚を感じ、なんだか気恥ずかしくなっていた。
「話は依頼人のクロエから聞いたわ。さっきの娘がアナね?」
 アナが逃げた扉を見つめ、今度はESが訪ねる。
「ああ、間違いない。だが・・・急に襲われた。理由はよくわからん」
 クロエが隠していた事情が絡んでいる事は察したが、しかしそれでも理由は思いつかない。
「やっかいな事になりそうね・・・まぁ事前に向こうから襲ってくるってわかっただけでも、十分な予防にはなるわ。おそらく、クロエが依頼して失踪したハンターも、アナが襲ってくるとは思わず不意打ちを食らったって所かしらね」
 十分あり得る話だ。しかもアナほどの腕があれば、並のハンターでは対処できなかっただろう。
「どうする? 一緒に行動した方が撃退しやすいが・・・」
「いえ、別行動を取るわよ。さっき逃げ出したところを見ると、一人の所を狙って来るみたいだし。それにあんたといたらリハビリにならないしね」

 ESならば、一人でも十分やれるだろう。彼女の言うとおり、リハビリにはちょうど良い。ZER0にしてみても、先ほどのように不意打ちされ混乱しなければ十分対処できるはず。そこまでZER0の腕を見込んで、彼女は別行動を提案した。
「了解。じゃ、また後でな」
「アナを捕獲したらすぐ連絡よこしなさいよ。かわいいからって、そのままホテルとかに連れ込んじゃダメだからね」

 お前に言われたくはないぞ。ESの性格を知った上で、ZER0は口に出さずツッコミを入れていた。

「よぉ、兄弟。また会ったな」
 意外な所で、意外な人物と会った。
「よぉ。もしかしてお前も失踪事件の調査か?」
 ZER0は以前ひょんな事から仕事を一緒にこなしたレイマー・・・自己紹介はされていないが、バーニィと呼ばれている男・・・彼に気さくな挨拶を返した。
「いや、ちょっとした野暮用でね・・・そうか、あんたはあの失踪事件を追っているのか」
 この男は、常に「何か」を知っている。そんな様子ではあったが・・・ZER0はあえて、深く聞き出そうとはしなかった。いや、聞き出そうにも口を割りそうにもないのは以前会った事でよく判っていたし、なによりこの男は、必要なら自分から話してくれるだろう。なんとなく、そう思っていたから。
「・・・あんた、もしかしてパイオニア1のことを・・・何か知っちまったんじゃねえのか?」
「何か・・・って?」

 唐突な質問に、その「真意」をはかりかねた。その為か、少々間の抜けた返答しかできなかった。
「いや、気にしないでくれ・・・あんたにはあんたで色々とあるんだろうから・・・そうだな・・・それなら可能性はある・・・」
 自分も身を明かしていない後ろめたさからか、レイマーはそれ以上深く聞き出そうとしなかった。むろんZER0はそういう「意図」で間の抜けた返事をしたわけではないのだが。
 しかし、レイマーは一人で勝手に納得していた。それはZER0にとって面白い反応ではない。
「ハハ・・・物欲しそうな顔だ。ワケを聞きてえかい?」
 当たり前だ、と言わんばかりに、態度で聞きたい事をアピールした。
「・・・なんでか、あんたには話してもいいような気がするな。おかしな話だ」
 自分のその判断がよほどおかしかったのか、苦笑混じりで説明を続けた。
「ブラックペーパーって知ってるか?」
 武器の密売からアンドロイドのパーツ、人体までを扱う死の商人。ハンターをやっていれば、誰もが知っている闇の商人だ。少なからず、そのブラックペーパーと密売をしているハンターもいるため、その名はあまりにも有名だ。にも関わらず、その正体はあまりにも闇に包まれている。個人なのか団体なのかすら、謎なほどに。
 当然、ZER0もその名は知っていた。しかし他のハンター同様、名しか知らない。
「どこまで知ってるかわからんが・・・死の商人 「ブラックペーパー」 、やつらはただの商人組織じゃねえ。本星10カ国同盟の裏の顔なんだよ」
「何だと?!」

 あまりにも唐突な話の展開に、声を裏返すほどに驚いた。そうでなくとも、今ZER0はダークサーティーンのメンバーと共に、政府と軍の陰謀を暴こうとしているのだ。本星10カ国同盟、つまり母星政府の裏の顔となれば、無関係ではいられない。
 レイマーはZER0の驚く様を見て、確信した。この男が「自分と同じように」政府と軍の陰謀に関わろうとしている事が。その上で
「このパイオニア計画の大元を指揮している奴らと「ブラックペーパー」 はグルってことだ」
と、結論づける。
「ま、 これ以上詳しい話はオレ自信もよくは知らねえ」
 肩をすくめ、オーバーに表現する。
「・・・そのブラックペーパーが、俺とどんな関係にあるって?」
 もちろん、大ありだ。政府を敵に回している時点で。だがそのことは推測はされていたとしても、レイマーに知られていたわけではない。ブラックペーパーの話は、唐突すぎる。
「いや・・・あんた、というか、正確にはあんたとあんたの仲間か。どうやらそのブラックペーパーに目を付けられてるらしくてな」
 あり得ない話ではない。何かと政府や軍の先手を打ち情報をつかんでいるZER0、いやZER0を含めたダークサーティーンが、政府にとって目の上のたんこぶであるのは明らかだ。ならばどうにかしたいと動き出すのは当然。
 しかし今まで、あからさまに付け狙われた実感がなかった分、理解はしても衝撃は大きい。
「忠告ありがとよ。どうやら「お互い」大変な事になってるようだな」
 当人達ですら、ブラックペーパーに狙われている事を知らなかったのだ。それを知り得たレイマー・・・謎の多い男、バーニィは、明らかに自分達以上に深く何かを知り、関わっている。それはZER0にも推測できる。
「・・・気をつけるんだな。オレはある人と協力してラグオルの裏を調べてる。あんたも気が向いたら協力してくれ。悪いようにはしねえからよ」
 気が向いたら、と口にはしているが、既に二人は協力関係にある。約束を交わしたわけではない。しかし二人は、互いに信頼しあっている。でなければ、こんな情報を自ら漏らす事はなかっただろう。
「ま、考えとくよ」
 互いの絆をぶっきらぼうに確認し、ZER0は今すべき事を再開した。
 よもや今回の仕事が、その「ブラックペーパー」と関わっている事など知るよしもなく・・・。

 探索は次の階層にまで及んだ。
 一変して湿気ばかりとなった第2階層へと足を踏み入れた事で、第1階層とは違う不快感がZER0を遅う。
「どこに行きやがった・・・あの小娘・・・」
 一向に発見できない事が、湿気による不快感も手伝いZER0をいらつかせる。
 しかし手がかりはこの洞窟にいるという事しかない以上、地道に探索を続けるしかない。
「テレパイプでパイオニア2へ帰ったか・・・いや、それはないな」
 可能性はあるが、今までずっと戻っていなかった事を考えると、低い可能性である。
「ちくしょう・・・どこに行きやがった・・・」
 少しでもイライラを沈めるために、マップレーダーに目をやる。すると、一カ所ハンターらしき反応が写っている。
「お、これか・・・これであってくれよぉ!」
 反応のあった方へ、急いで駆けつけた。
 マップレーダーに写ったハンターらしき反応は、全く動かない。ZER0を待っているのか? 待ち伏せだとしたら・・・
「危ねぇ・・・やっぱりあったか」
 反応があった手前の部屋には、多数のトラップが仕掛けられていた。それをトラップビジョンで事前にチェックする事で、ZER0は難なく回避する事が出来た。
 トラップが仕掛けられていた。ということは・・・ZER0は確信を持って、反応ポイントへとたどり着いた。
「やっと見つけたぜ・・・」
 そこには予想通り、アナが待っていた。
「ふうん・・・わたしの仕掛けた地雷も突破してきたんだ?」
 意外だとばかり、いや無関心なのかもしれない。ZER0がここまでたどり着いた事を評価してきた。
「ねぇえ、そこのきみィ! そんだけ強いんなら・・・アイテム いっぱい持ってるよね?」
 どうやら、興味あるのはZER0ではなく、ZER0の腕、いや、それを見越して高額のアイテムを所持している事のようだ。
 ZER0は黙ったまま、愛刀を持ち直した。普段持つ時とは正反対、峰を正面に向けるように。
 フォトン武器では非常に難しい事を、実刀だからこそ出来る事がある。それが「峰打ち」だ。
 刀は磨き抜かれた刃で敵を切り裂く武器だ。だが刃は片方にしか付いておらず、刃のない方では敵を切る事は出来ない。それを逆に利用し、相手を最小限の打撃で仕留める手加減が出来る。刀身全てがフォトンでは、このような芸当は難しい。
「あ、レアものじゃんそれ。うふふ。わたし、それもーらった!」
 どうやらレンジャーはいないようだ。しかしアナは先ほどの戦闘で、ZER0の腕を見くびっていた。
 先ほどとは状況が違う。ZER0は既に武器を構えている。
 Zan!
 一閃。
 勝負は一瞬で決着した。確かにアナの腕は相当なものだ。しかしZER0を見くびり、真っ正面から突っ込んでは、ZER0がそれを見逃すはずもない。アナは腹を押さえ、うずくまってしまった。
「い・・・痛ったあい。うう」
 腕は確かだが、どうにも行動から言動から、幼い印章を受けてしまう。いや、実際に幼いのかもしれない。
 ニューマンは容姿からでは年齢を特定しにくい。なぜならば、ニューマンは元々遺伝子科学が生み出した新しい種族であり、通常のヒューマンよりも成長が早いためである。加えて、老化はヒューマンより遅いという特徴も持っているが、その代わり寿命は不安定で、生まれてすぐに死亡する事もあれば、若い容姿のまま100年を生きる事もある。それがニューマンの不幸を招く事も多い。
「痛いよお・・・痛いよお・・・」
 うずくまったアナは、まだ子供のように泣きじゃくっていた。これがとても・・・大量のトラップを仕掛け、ダガーでZER0を襲いかかってきた娘と同一とは考えられない。
 いや、考えが幼いからこそ、平気で人を襲えたのかもしれない。妹のクロエとは随分と対照的なほど幼稚な思考の持ち主のようだ。
「うわーん。クロエぇ! 痛いよお!!」
 ついに、妹の名を口にしながら大泣きし始めた。ZER0は女性に対していやらしいほどに優しいが、相手が子供だとそうは行かない。
「いい加減にしろ! あのなぁ、テメェ今までに何人のハンターを襲った! そいつらだって痛ぇどころか、死ぬ事だってあるんだぞ! テメェの事ばかりで泣きわめくんじゃねぇ!」
「・・・・・・え?」

 ZER0の恫喝に、きょとんとしてアナは泣きやんだ。
「いいか? おめぇはその痛い事を何人ものハンターにしてきたんだ。な、今度からこういう事すんじゃねぇぞ。上であんたの妹も待ってんだ。一緒に帰ろう」
 一転して、今度は優しい口調で説き伏せる。しゃがみ込み、目線をアナと同じにしながら見つめ、頭をなでながら。それは子供をしかる父親のそれと変わらなかったかもしれないが、ZER0にその意図はない。強いて言うならば、軟派師としての彼の本能が、相手の女性にあった口説き方を自然としていただけなのかもしれない。
「クロエが? わたしを待ってるの?・・・ホントに?」
 アナの問いかけに、優しくうなずく。
「・・・クロエぇ。クロエに会いたぁい! もう帰るぅ!」
 また泣き出したアナを、やれやれと内心落胆しながらも、頭をなでて慰める。
(これじゃホテルに連れ込むってのも出来ねぇぞ。つーか、俺はロリコンじゃねぇしなぁ)
 ESの警告を思い出し、一人苦笑してしまう。容姿は幼くないが、思考が幼くてはZER0の好みからは外れるらしい。もっとも、こういう女性を好む男性も少なくないのだが。
(ESへの連絡どころじゃねぇな。とりあえず連れて帰るのを優先するか)
 テレパイプで帰り道を造りだし、二人はラグオルを後にした。

 一方、ESも連絡を受けている状況ではなかった。
「久しぶりだな・・・ES・・・あれから少しは強くなったか・・・?」
 目の前に、異常な殺気を放つヒューキャストが立ちふさがっていたためである。
「そうね。少なくともあなたよりは強いわよ。前からね」
 ESの言葉に腹を立てたのか、ESの相変わらず強気な態度に感服したのか、ヒューキャストは肩に担いでいた鎌をおろし、すぐに構えられる体制を整えた。
 つまり、戦闘態勢に入ったという事だ。
「いつかは・・・と思っていたけどね、キリーク。いえ、それとも「黒い猟犬」と呼ぶべき?」
 ESの言葉に、くっくと含み笑いを漏らしながら聞き入っていた。
「よく調べたな・・・その様子だと、組織の事も知っているようだな?」
「ええ・・・正直、そろそろだとは思っていたけどね」

 キリークと対峙した後、あまりにも不自然なキリークの行動に違和感を感じていたESは、独自に調査を進めていたのだ。そして見つけだした答え。それがブラックペーパーの黒い猟犬。キリーク・ザ・ブラックハウンド。
「それにしては無警戒だったな・・・少なくとも、お前を除く仲間達は」
 そしてキリークも、ESを調べ上げていた。いや彼の場合は、ESが意識する以前から彼女の事をかぎ回っていた。ブラックペーパーという組織の命により。
 しかし猟犬の鼻は、飼い主の意志とは違う物をかぎつけていた。
 強い。
 猟犬にしてみれば、それだけでよかったのだ。
「それはそうよ。まだ伝えてないもの。あんたの狙いが私「だけ」なら、無用な心配させる事もないしね」
 ブラックペーパーはESを含めダークサーティーンを付け狙っている。そのことはキリークを調べ始めたESと、調査に協力したBAZZしか知らない。Mですら、薄々感づかれていたとしても、伝えていないのだ。むしろMだからこそ伝え心配される事を恐れたのかもしれない。
「クックックッ・・・優しいことで。だが、関係ない話だ。俺にとってはな」
 鎌を両手に持ち直し、いつでも踏み出せる体制を整える。
「一つ聞くけど・・・今回の事は単独? それとも飼い主から「待て」の命令がとけたのかしら?」
 猟犬の獲物はESだけだ。しかし飼い主にとっては違う。今回の襲撃動機によっては、ダークサーティーン全体の問題に発展するのだ。
「どっちでも良かったんだがな・・・上の命令だよ。もっとも、俺に食べられるお前には関係のない事だと思うが」
 じりっと、少しずつ間合いを詰めている。ESも両手に愛刃を構え、腰を低く落とす。
「そうでもないわよ。あぁでも私はあんたなんか食べないわよ。グルメだから。捨てるしかない屑野菜に興味はないわ」
 自然と、額からは一筋の雫が頬をつたう。それはもちろん、洞窟に漂う湿気のためではない。
「魂まで食らってやるぞ、ES!!」
 仕掛けたのは猟犬。受けるのは爪牙。
 黒の称号を持つ二人が、激しくぶつかり合った。
「せいっ!」
 鎌の一振りを左の刃で弾き、右の刃をたたき込む。だが、鎌を弾かれた反動を利用し、それを柄で受け流す。
「クックックッ・・・」
 受け流した力の流れを殺さず、身をくるりと反転させながら、鎌を横一線に振り抜く。
 受け流された事でバランスを崩しかけていたESは、それを両刃で受け止める事しかできない。そして勢いの付いた鎌を受け止めた事で、またバランスを崩しかける。
「ちっ!」
 崩しかけたバランスを無理に立て直そうとせず、そのまま倒れるように身体を横たわらせ・・・両手を地面につけ、バック転で間を空ける。
GIZONDE!」
 間を再び詰められる前に、テクニックで牽制する。
「フハハハハ!」
 ギゾンデを物ともせず・・・いや、効いてはいる。しかしそれで怯むことなく間を詰め鎌を振り下ろしてきた。
「不気味ったらありゃしないね!」
 まるでゾンビかのごとく、攻撃を受けながらも、何事もなかったかのように襲いかかる。いや、まだゾンビの方がましだろう。これほどまでに正確で素早い攻撃をしてこないだけ。
「ていっ!」
 振り下ろされる鎌の腹を蹴り、流す。そしてダガーで切り裂く・・・と見せかけ、反転しながらしゃがみ込み、脚払いで相手を転倒させた。
 ダガーで転倒した相手を攻撃するのは難しい。しかし転倒した猟犬にしても、転倒したままでは柄の長い鎌では攻撃できない。この場は横転しながら離れ、体勢を立て直すしかない。もちろん、ESにしてみればそこまで計算しての脚払い。
GIFOIE!」
 炎が弧を描きながらESの周りを飛び交う。その炎は立ち上がったキリークを確実にとらえた。
 そしてこの隙に、ESは武器を持ち替えた。赤いフォトンが二本、右手の甲よりすらりと延びていた。それは彼女が「爪牙」と呼ばれるもう一つの由来。
 ダガーは両手に持つ事で、様々な攻撃のパターンを生み出し手数で勝負するには適した武器だ。しかし両手で攻撃する事は体全身を攻撃行動へと活用するため、特に攻撃をし終わった後の隙が大きくなってしまう。少しの隙が命取りになり得る今の状況では、せめてシールドを装備してある左手は回避に専念した動きにするべきだ。そう判断したESは武器をダガーからクローに切り替えたのだ。
「ククク・・・ネイ・クローか。面白い物を持っているな」
 言いながら間合いを詰め、のど元を狙うように襲いかかる。ESはそれを左腕で・・・左腕に装備されたシールドではじき返す。魔法陣のようなフォトンが一瞬輝く。
「お前で二人目だぞ。その武器を持った女を見るのはな・・・」
「何ですって!」

 キリークの言葉に、ESが激しく反応した。それは言葉を発したキリークにしても、意外なほど過敏な反応だった。
「そうか、そういう事か・・・なるほど・・・クックックッ・・・面白い、面白いぞこれは!」
 一人納得した猟犬は、高らかに笑い出した。遠吠えのように。
「言いなさいキリーク! 知っているんでしょ? この武器を持つ「もう一人のあいつ」を!」
 戦闘中であった事を忘れたかのように、ESはキリークにくってかかった。
「あの男はパイオニア1で屍となったが・・・お前のような奴にまた出会えるとはな・・・」
 ESの問いを無視し、一人吠え続ける猟犬。
「あの女は食いそびれたが・・・いいぞ、いいぞ! お前はもっと美味くなるまで待ってやる・・・まだだ。まだ早い・・・」
 猟犬は獲物を食らうことなく、逃亡した。
「待ちなさいキリーク! キリーク!」
 獲物であったはずのESが、猟犬を呼び止めたが・・・すでに飼い主の元へと帰っていた。
「キリークが知っていた? じゃああいつはブラックペーパーに?」
 またしても、疑問は唐突に現れた。しかし今回は完全にES個人の問題。しばしその事に思いを馳せていたかったが・・・BEEからの着信音が思考の中断を訴えかけていた。
『お、ES。アナは無事保護したぜ。任務終了だ・・・ん? どうした、なんかあったか?』
 通信機を通じても、「こういう時だけ」ZER0の勘は冴える。
「何でもないわ・・・すぐそっちに戻るわね」
 任務は無事完了していた。しかしESにとっては、始まりでしかなかった。

「商人のおじさんがね。アイテムを持っていけば、お金にすぐ交換してくれたの。わたしが気絶させた人? おじさんの知り合いが連れていったみたいだけど・・・どこへ連れてったかは知らなぁい」
 ギルドでは、アナへの尋問が始まっていた。彼女の口振りから、ハンター失踪事件に関与していたようだが、彼女自身はハンターの行方を知らないようだ。
「・・・なんとなく 感づいていたんです。アナも絡んでいるじゃないかって」
 そしてクロエも告白を始めた。彼女が危惧していた事を。
「でも、 何度も探しに行ったんですが、私の前には姿を見せてくれなくて・・・ほんと単純に、他のハンターから装備を奪うことが楽しかったみたいで」
 しかし、自分のしている事は悪い事だという自覚はあったのだろう。だからこそクロエの顔を見る事が出来ず、パイオニア2へ戻ることもためらい、クロエの前には姿を現さなかったのだろう。
「黙っててごめんなさい。アナったら ホントに子供なんです」
 クロエにとってアナは姉だが、どちらかといえばクロエの方が姉・・・いや母親のように、アナを心配していた。故に子供扱いをしているところもあるが・・・実際アナは子供のように幼いため、それはそれで仕方のない事かもしれない。
「アナをそそのかした相手も私が探すつもりです。 行方不明のみなさんも見つかってませんし・・・でも、アナに誰があんなこと吹きこんだのかについてはなんとなく見当はついてるんです」
 アナのしでかした事への償い。そのつもりなのだろうが、ESとZER0はそれに賛同はしなかった。あまりにも危険だからだ。しかし、引き留める事もしなかった。それは、アナの処分に関わるからだ。
「ギルドと保安部に連絡しないわけにはいかないからね。とりあえず事件の全貌がはっきりするまで、保護監査付きでアナはしばらくハンター活動禁止ね」
 つまり事件が解決まで、アナは自由に行動できなくなるのだ。もっとも、本来ならば監獄行きなのだが、保護監査を付ける事と、身内であるクロエが事件の捜査をする事、そしてアナ自身が「自首」という形で事件の情報を提供した事で処分を軽くする事が出来た。
「で、監査役は決まったのか? たしか身内のクロエじゃ監査役にはなれねぇんだよな?」
 肉親である事もそうだが、基本的に監査役は保安部の人間かギルドの人間が選んだ「第3者」が割り当てられる決まりになっている。
「うんとね、お兄ちゃんが監査役だって」
 アナが指さす方向には、ZER0がいた。
「は? 俺? ちょっとまて、何で俺なんだよ!」
 クロエがすみませんと頭を下げながら説明した。
「あの・・・アナはこれでも、ハンターとして腕は確かで・・・まずアナより腕の立つ人である事が条件になりまして・・・それに、アナがZER0さんになついてましたので・・・ESさんの推薦で・・・」
「なっ! ES! どーいうことだ!」
「いいじゃない。軟派師が女の子にもてて何が不満なのよ?」
「えへへ。アナね、お兄ちゃんの事気に入ったの。アナより強いし、かっこいいし!」

 後日談だが、終始ベタベタとまとわりつくアナとZER0を見たノルが、これは記事になるわねと、誤解だと弁明するZER0をしばらくやっかみ半分でからかっていたらしい。

16話あとがきへ 16話あとがきへ
目次へ 目次へ
トップページへ トップページへ