牡丹灯籠 あらすじ
(色を変えている部分は、作中にアレンジして登場させているところです)

 その昔、旗本の娘お露は春の梅見の席で、浪人である萩原新三郎に出会い、一目惚れしてしまう。しかし頑固な父親に猛反対され、会う事すら叶わなくなってしまう。思い悩み、恋に苦しんだお露はまさに「恋の病」となり、医者の手当ての甲斐もなく若い命を散らせてしまう。それを悲しんだ乳母のお米お露の後を追った。こうして、二人は幽霊となり、夜な夜なカランコロンと駒下駄を鳴らし、牡丹をあしらった灯籠をお米に持たせ彷徨うようになる。
 この頃より、新三郎は日に日にやつれるようになっていく。その様子を見ていた、新三郎の下働きをしていた夫婦、半蔵とお峰。ある夜、半蔵は新三郎に髑髏が寄り添っているのを目撃してしまう。この髑髏こそ、死霊となったお露である。雇い主に万一の事があっては自分達の仕事が無くなると、夫婦は慌てて家中に札を貼りまくった
 お札のせいで家には入れなくなった二人。そこでお米は下働き夫婦に掛け合った。どうかお露の望みを叶える為に手を貸してくれ、と。人情にほだされ困り果てる半蔵をよそに、お峰は条件を出した。もし新三郎に万一の事があっても私達が困らないように、金百両を用意してくれ、と。お米はこれを承諾し、夫婦に金百両を与える。そして夫婦は札を剥がしたその途端、お露とお米は一目散で新三郎の元へ。もう愛しい人を放しはしないとお露は念じ、新三郎の手で新三郎の首を絞めてしまった。哀れ新三郎は恍惚の表情を浮かべながらあの世へと旅立ってしまった・・・。

 以下、その後の下働き夫婦の話(反転してご覧下さい)
 その後夫婦は金百両を元に店を開くが、新三郎の事もあり心は晴れぬまま。そんな生活を続けているうちに、なにやら半蔵の様子がおかしい事に気付くお峰。なんと半蔵はお峰とのもやもやした夫婦生活に嫌気がさし、浮気をしていたのであった。これに嫉妬し腹を立てたお峰は、なんと半蔵を刺し殺してしまう。げに恐ろしきは人の心成り、というお話・・・。

牡丹灯記(牡丹燈記) あらすじ

 時は元(げん)の至正20年(1360年)の正月15日。深夜まで続く灯籠祭りの日。喬(はし)という青年がこの祭りを楽しんでいたところ、牡丹灯籠を持った侍女金蓮(きんれん)とその主人である絶世の美少女符麗卿(ふれいけい)に出会う。喬は一目で少女に恋をし、二人は恋人同士に。夜な夜な麗卿が喬のもとを訪れ一夜を過ごし明け方近くには麗卿が帰っていく、という生活を繰り返すようになっていた。
 喬は日に日にやつれていくようになる。それを心配した隣の家に住む老人が壁の穴から喬の家の様子を覗いてみたところ、喬が髑髏と一緒に寝ているではないか。翌日老人は喬にこの事を告げる。喬はなんのことかと不思議に思い、麗卿より聞いていた彼女が住むという湖の西へと出かけた。たまたま休みに入った湖心寺という寺の中で、喬は侍女である金蓮が持っていた牡丹灯籠が上に乗せてある棺を見つけてしまう。棺には符麗卿の名があり、棺に供えられていた女中の紙人形には金蓮と書かれていた。この時、喬は麗卿が鬼(中国で言う幽霊の事)であり、金蓮が霊力で人になった紙人形である事を知る。
 喬は老人の薦めに従い、観(道教の寺院)の法師にすがり、鬼を祓う護符を書いて貰う。法師はこの符を寝台と戸に貼り、湖心寺にはけして近づかぬようにと喬に言い聞かせた。この護符はとてもよく効き、以後麗卿はピタリと喬の家に現れる事はなかった。
 ところが、それから一月が経ったある日。酒を飲んで酔った喬が、法師の言いつけを忘れ湖心寺に近づいてしまう。寺の門では金蓮が待ちかまえており、喬を中へと招く。それに釣られ中に入った喬は、麗卿と再会してしまう。つれない喬を責め立て、麗卿はそのまま喬を引きずり込んでしまいます。
 何時になっても帰らぬ老人が、もしやと湖心寺に行ってみたところ、老人は棺の中で骸骨と抱き合いながら死んでいる喬を発見。二人はこの寺で葬られる事になりました。
 それから後、町では牡丹灯籠をさげた侍女と、男女二人の鬼が徘徊するようになります。そう、喬も鬼となって麗卿と共に彷徨うようになったのです。
 この三人の鬼を見た者は熱病に冒されるという被害が町に広がり、さらには以前喬が書いて貰った法師の護符も効果がないという凶悪な疫鬼(病気をまき散らす幽霊)になってしまったのです。後に法師は四冠道人を四明山から呼び、三人を退治して貰う事になり、以後町は平和になったという。

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