この作品は、2004年の「第11回 電撃3大賞」の小説部門(短編)へ投稿した作品を、ルビをふった部分を改訂してhtmlにしたものです。
 ちなみに結果ですが、当然のように一次審査すら通過しませんでした(笑)。

 そもそも「妖精学者」は、長編&連載物として考えていた作品で、電撃には長編の方・・・主人公が妖精学者(フェアリードクター)になるまでの過程・・・を投稿するつもりで、後にサイトで連載をするつもりでいました。ところが時間が無く、今回は連載するつもりでいた話の一つを短編としてまとめたものを投稿しました。
 この作品の大本を思いついたのは、高校生の頃。まず中学の頃にある一つの物語を思いつき、それを日々妄想し続けていった結果、様々な話をまるで枝分かれしていくかのように膨らんで・・・その一枝として生まれたのが「妖精学者」でした。当初は、というかつい最近まで「妖精学者」は「妖精探偵」というタイトルのつもりで考えていまして、タイトル通り妖精や悪魔がからむ事件を解決する探偵という設定でいたのですが、去年偶然「ユニコーンを探せ(マイク・レズニック)」という作品に出会ってしまって・・・まあ出会うのが遅すぎたんですが(笑)、この作品がもう、考えていた探偵像そのままでしてね(汗)。知ってしまった以上探偵のままもどーかと・・・と考えていた時に、妖精学者の伝承(というか、実際にそう呼ばれる人がアイルランドにいたんですけどね)を思い出し、探偵から学者へと設定を変えました。
 設定をある程度いじりましたが、根本は高校生の頃思いついたままで、ぶっちゃけ「ゲゲゲの鬼太郎」です(笑)。ただ鬼太郎は「妖怪なのに人間の味方」であるのに対して、妖精学者は「人間だけど妖精の味方」というスタンスで、妖精や悪魔,妖怪などの者達から見た、人間への皮肉を込めた見解を見せる・・・そんな作品にしたいなーと、漠然と考えていました。今回の話は「幼児虐待」の問題を、これまた伝承にある「取り替え子」になぞらえてみましたが・・・どうだったでしょうかね?なんつーか、そもそもこういう作風は電撃にあわないだろうと自分でも思うんですが(笑)。
 ところで、この作品がなぜ「幻想という名の空蝉(以下、空蝉)」の中に置いてあるのかと言いますと、そもそも空蝉は、「妖精学者」の連載物を始める際の、断片的なアイデアを形にした物なんです。とりあえず投稿もすませましたので、これからこういった形で短編を書いていきたいと思っていますが、おそらくこれまで書いた空蝉の話が短編になっていくかと思われます。まあ一応PSOの連載もあるのでそうそう書き上げる事もありませんが、たまぁに覗きに来てくれれば、アップしてるかもしれません。

 さてここで、作中の解説を単語毎に。
取り替え子(チェンジリング):作中で解説している通りです。余談ですが、アメコミ「ヘルボーイ」でも取り替え子を題材にした話があったりと、実はケルト系(アイルランド,イギリス)の伝承としては有名な話です。
ダブリン:アイルランドの首都
スライゴー:アイルランドの一地方。妖精伝承の多い地方です。
W・B・イエイツ:ウイリアム・バトラー・イエイツ。1865年にスライゴーに生まれた詩人であり、同時に劇作家,思想家としても活躍。主にロンドンでその名を轟かせた。1923年にはノーベル文学賞も受賞している。アイルランド民間伝承復興運動の中心者であり、「ケルト妖精物語」「ケルト幻想物語」(共にちくま文庫)などを執筆。筆者(A−ZAP)に多大なる影響を与える(笑)。
蹄鉄:馬の蹄に付ける鉄製の、U字型のアレ。アイルランドでは妖精よけのお守りとして使われる。また鉄は妖精が苦手とする金属として語られている。
女王:html版ではルビが振られていませんが、女王は「ティターニア」王は「オベロン」とルビを振っていました。

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