【解説】
 おそらく日本ではもっともポピュラーな妖怪だろう。しかしそのルーツは様々で、多種多様。一般的には「角が生えている」「人並み外れた力を持っている」「肌が赤い」「虎皮のパンツをはいている」という特徴で知られている。
 鬼は大きく四つに分類される。一つは日本土着の鬼で、自然災害などが具現化した物。一つは病や悪などの具現化。中国から伝わってきた鬼(き)は、これに準じている。一つはインドから仏教と共に伝えられてきたもの。こちらは現在伝わっている鬼のビジュアルイメージの基礎となっている。最後は人間が鬼と化したもの。歴史の中で敗者となってしまった民族が「土蜘蛛」と呼ばれ嫌われていたケースや、紅葉(くれは)や清姫など鬼へと化けてしまうケースなどがあげられる。
 現在伝えられている鬼は、上記の様々な伝承が混ざり合い、更に時代時代で様々な作家が鬼を作り上げ、今に至っている。その為、鬼は「これ」と決定づけられる定義がし辛い存在である。
 鬼の特徴となっている「角」と「虎皮のパンツ」についても諸説色々あるが、「鬼は艮(丑虎/北東)の方角からやってくる」という伝承から、「牛の角と虎皮のパンツ」という姿になった、というのが有力な説。また艮の方角は陰陽道では「鬼門」とも呼ばれ、言葉としては一般化している。

【設定】
 鬼はポピュラー故に色々な話があるので・・・ここでは語り尽くせません(笑)。上記の解説もほんのさわり程度なので、興味がある人はちょっと調べてみると面白いですよ。あまりにも多くの本が出ていて目を回すかもしれませんが(笑)。
 本文で書いた鬼は、「妖精学者の日常」シリーズの中で書いた「鬼島武」君ですね。まあ彼が主役と言うよりは、節分の話が書きたかったんですが(笑)。よくネタにされる節分ですから、どうせなら「空蝉らしい」感じに、「実害はないけど、雰囲気が嫌」「でも楽しんでたりもする」という二段構えにしてみました。最初にパッと思い浮かんだビジュアルイメージが「節分用の豆をバリボリ食べてる鬼」だったので、それをシーンに盛り込んだりして。個人的には、書いてる中で「メイド服着て恵方巻きを作ってるシルキー」ってのもすごい絵だなぁと気に入ってたんですけどね(笑)

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