長生鼠

【解説】
 「ちょうせいそ」と読む。中国の妖怪で、名前の通り長生きをした鼠が怪鼠(かいそ)となった姿。
 ある男が嫁を貰ったが、その嫁は長生鼠の化身であった。男はとても良い夫であったが嫁は悪妻で、姑に批判されたことへ腹を立て夫を暴行したりなど酷い仕打ちをしていた。また夫が呼んだ芸者に紛れたり飲み会に男装してこっそりと潜入したりと、嫉妬深い一面をていた。
 この嫁は元老僧が飼っていた鼠(長生鼠)で、夫が前世でこの鼠を過失死させてしまった。これを恨み、生まれ変わって悪行をはたらいていたのだ。しかし高徳の老僧によって正体を暴かれた長生鼠は、以後改心し夫と和解したという。

【設定】
 子年に合わせて書いた話なんですがね、鼠って意外にモンスターとかにはなってないんですよね。「鉄鼠」や「小玉鼠」はすぐに思いついたんですが、どっちもここの話にはし辛いのよねorz 西洋だとウェアラットとかジャイアントラットとか、伝説のっていうよりRPGのモンスターって感じだし。他にも鼠の話は東西関わらず多いんですけど・・・普通の鼠が多いんですよ。しかも大群。そんな中で中国に伝わる長生鼠の話を資料の山から見つけたときに安堵感といったら(笑)。
 伝わっている話が悪妻の話なので、「嫉妬深い妻」ってのだけ抽出してみました。まぁそれでも悪妻だな(笑)。実際にこの手の悪妻がいそうなのが怖いけど(汗)。ちょっと嫉妬深いところばかり盛り込みすぎて、鼠らしいところがほとんど出せなかったのは反省点orz
 中国の話は「実は妻が化けていた」とか「前世からの恨み」とか結構多いんですよね。前作の「玉兎」も近い話でしたし。また「動物が長生きして妖怪に」ってのも多いですよね。妖怪話に限らず、悪妻の話ってのも昔話や落語には多いし。そういう意味で、上記の長生鼠の話はまさに基本中の基本ってところなんだろうなぁ。

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