ジン

【解説】
 「アラジンと魔法のランプ」などのアラビアンナイトでお馴染みの魔神。日本では精霊,妖霊,幽鬼などとも訳される。イスラム教のコーランでは「泥(=土と水)から人を、灼熱(=火と風)からからジンを、光から天使が造られた」とされている。
 ジン(jinn)とは本来イスラム教での魔神の総称であり、複数形の呼び名。単体ではジニー(Jinni)、女性の場合はジンニヤー,ジーニー(Jinniyah)と呼ばれる。ただしゲームなどではジンの女性名がジニーとされているケースが多く、そちらの方が一般的になっている(※おそらくジニーとジーニーが混同したためではないかと思われるが、これは筆者の憶測で詳細は勉強不足のため不明)。
 上記にもある通りジンは総称で、5つの階層があります。上から順番にマリード(女性名マリーダ),イフリート(女性名イフリータ),シャイターン,ジン,ジャーンとなり、また順に魔霊,鬼神,悪魔,妖霊,悪霊と訳されることもあります。四番目もジンと呼ばれていますが、これは総称としても四番目の妖霊としても同じ言葉が用いられるためです。また二番目のイフリートは、こちらもよくゲームなどに登場する火の魔神のことです。このような上下関係があるためか、ジンの上位種としてイフリートを位置づけるゲームなどもあります。
 人の前に実体として現れる際はまず渦巻く煙や雲のような気体として現れ、そこから徐々に人や蛇,ジャッカルなどに変わっていきます。大きさもそれぞれ。基本的にどんな姿になることも出来る。しかし性別はあり、また性格も善悪それぞれで、信仰すらそれぞれと、そのあたりは人間に近い。その為か女性を愛でるためにさらったりするジン(主にイフリート)がいたり、また人間との間に子をもうけることもある。
 よく物語では壺や瓶などに封印されていることが多いが、これはスレイマン(聖人)あるいはソロモン王がジンを自由に操っていたとされる伝説から来ており、主人(スレイマン)の意に反したジンが罰として封じられるからとされています。封印されたジンは時折人の手によって解放され、その礼として願いを叶えるという話は有名ですが、しかし逆に解放した人を殺してしまう凶悪なジンも存在します。中には「魔法のランプ」のように特定の物に束縛されているジンもおり、そのような場合は召還(擦る、等)される度に現れ願いを叶えます。
 余談ですが、「アラジンと魔法のランプ」に登場する「ランプの精」はジンですが、階層で言えばイフリート(あるいはマリード)です。どんな願いも叶える力は、さすがに下から数えた方が早いジンよりは上から数えた方が早いイフリートの方が適任でしょう。

【設定】
 上記を読むと判りますが、本編で書いたジンはイメージ的にはイフリートですね。ただイフリートと書くと「願いを叶える〜」と言うよりは「炎の〜」というイメージが先行するだろうと思ったので、(総称である)ジンにしました。
 ジンは有名な割に「願いを叶える」と「風の魔人」というイメージばかりで詳しい事まで知っている人は少ないですよね。まぁ自分も資料本を読みあさるまで知らなかったし(笑)。だから逆に、資料本を読んで深いところを知った事で興味がわいたのも事実ですが。
 とはいえ、今回の話はジンありきではなく「願い事ありき」です。なんていうかな、もうちょっと「空想」を楽しむ余裕を持とうよって事で(笑)。あれよ、理論的だとしてもつまらない答えしか出せないような大人は余裕が無くていかんねってことで。ま、他にも「ドラえもんの道具でどれか一つ欲しい物は?」という質問に「もしもボックス」とか「ドラえもん自体」とか答えちゃうような人も遊び心がないなと(笑)。
 あと、今回の話は島本和彦の「ワンダービット」という単行本(全4巻)に収録されている「山ちゃんと魔法のランプ」(第1巻収録)という話にインスパイアされた部分が多々あります。機会あれば是非あちらの漫画も見ていただきたい。

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