【解説】
 「黒いサンタ」「ブラックサンタ」などとも呼ばれる、ドイツを中心に広まっている伝承。格好はそのまま黒いサンタの場合もあるが、日本のなまはげのように、見るからに悪魔のような姿であったりもする。これは地方によって異なるらしく、呼び名も様々になる。
 そもそもサンタクロースは、キリスト教の聖人・聖ニコラウスの伝承から産まれた話。諸説様々なのだが、聖ニコラウスが子供達にお菓子類を配り歩いたことから話が膨らみ、ノルウェーで現在知られているサンタクロースになった、というのが最も知られている話。
 クネヒトルーブレヒトは聖ニコラウスが連れて歩く天使と悪魔のうちの悪魔の方で、よい子には天使がお菓子類やおもちゃを、悪い子には悪魔が石炭やジャガイモをプレゼントする。もし悪い子がいないときは、「悪いことをすると来年酷いことをするぞ!」と脅していく。また別の話では、寝静まった(悪い)子供の部屋に忍び込み、ベッドの上や下に豚の臓物と血をまき散らすともされ、さらには子供がすっぽり入る大袋を持って現れ、袋に子供を入れ連れ帰ってしまうという話もある。伝承的役割としては、秋田県のなまはげに非常に近い。
 黒いサンタのいない、プレゼントを配るだけになったサンタが来るのは、アメリカや日本くらいなのも。ヨーロッパなどでは、サンタが来てくれるようご馳走を用意する風習もあったりする。豪華なプレゼントをねだるのもアメリカや日本くらい。

【設定】
 TV番組「トリビアの泉」でも紹介されたことがあるので(番組では「黒いサンタ」となっていました)知っている人もいるでしょうね。日本ではかなりマイナーな悪魔ですが、知ってか知らずか、この手の黒サンタはホラー漫画なんかによく題材にされてたりしてますよね(この場合、服は赤いけど)。
 筆者には甥っ子が二人いるんですが、彼らを見てるとなんつーか、プレゼントをねだるだけの子供に話して聞かせてやりたいなと(笑)。でも信じないだろうなぁ・・・なんて事をふと思ったときに、この話を考えつきました。今のサンタは消費文化の象徴みたいですけど、黒いサンタがいれば、それだけには止まらないだろうなぁと思うんですが・・・まぁ、売れてナンボのサンタの中の人にしてみれば、こんな相棒は要らないか(笑)。
 話としてはもう一つ、「サンタは忙しい」という漫画などを多く見かけるので、「実は暇」というのを書いてみたいな、というのもありました。むろん暇をコンセプトにした漫画も見たことありますけどね。あと「煙突がない」というありがちなネタもちょっとひねってみたりと、色々出来たのは書いていて楽しかったです。さらっと某名曲のタイトルも入れられたし(笑)。
 と、ここを書きながらふと思った。たぶんあれだ、アメリカ産のクネヒトルーブレヒトは、豚の代わりに牛の臓物をまきちらすんだよ、たぶん。日本に輸出する際に切り捨てたあたりの臓物な(笑)。うはぁ、まさにブラック。

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