バンシー

【解説】
 アイルランドとスコットランド(イギリスの一地方)でみられる妖精。一般的には死が近づいた人が住む家の前に現れ、ただすすり泣く妖精だとされているが、死ぬ人の衣類を川のほとりで洗いながらすすり泣くともされている為、「悲しみの洗い手(ザ・リトル・ウォッシャー・オブ・ソロー)」や「浅瀬の洗い手(ザ・ウォッシャー・アト・ザ・フオード)」とも呼ばれている。
 バンシーは旧家や貴族などの家柄の良い家に現れるとされ、通常は一人で泣いているが、死ぬ人が偉大な人や勇敢な人だった場合は、その功績に応じて泣くバンシーの数も増えると言われている。また良家の家事などを手伝うケースもあることから、家憑き妖精の一種だともされています。
 一般的には少女の姿をした妖精とされているが、本来は「美しくはなく、鼻の穴は一つで大きな前歯が突き出ており、足には水かきが付いている」といった容姿で、可愛らしい(あるいは美しい)少女というイメージはなく、老婆だとされています。この醜い容姿に加え、死を予言する不吉な存在である事から、後々ゲームなどでは「アンデットモンスター」として登場する事が多くなったようだ。この場合のバンシーは、すすり泣くと言った可愛らしい声ではなく、耳をつんざく恐ろしい声で泣くとされている。
 上記の特徴の他に、流れるような長い髪,緑の服の上に灰色のマントを羽織っている,目は絶えず泣いている為に燃えるように赤いなどと言った特徴もある。
 バンシーとは元々ゲール(アイルランド)語で「妖精の女」という意味なのだが、今ではこの「泣き妖精」の事だけを指す事が多い(余談だが、そもそも「シー」というのが妖精という意味。「○○シー」という名前の妖精が多いのはこの為)。
 一説では、バイヴ・カハ三姉妹の三女「ネヴァン」から変化した妖精だとも言われている。

【設定】
 あくまで筆者の推測ですが、川の近くで「死ぬ予定にある人の衣類を洗濯している」などといった話も残っている事から、そもそもは日本の「小豆洗い」や「洗濯狐」といった妖怪同様、川のせせらぎがすすり泣く声に聞こえて、そこから妖精へとなったのではないか? とも考えているのですが・・・どうなんだろうか?(実際、小豆洗いには「小豆を洗う音を聞くと死ぬ」という話もあって、どことなく共通点があるなぁなんて思うわけですよ)
 さておき、作中のバンシーは「泣き妖精」という要素を無くして「喜怒哀楽が激しい為に泣く事が多い」という風にアレンジしてみました。多くの作品でバンシーは「泣く」事にかなり特徴を持たせているので、ひねくれている筆者は「泣くまでの課程」を強調した方が面白味があるかなぁと考えて性格設定をしました。加えて、その性格と元々の伝承から「少女」にしています。ええ、容姿は伝承とは違って「美少女」ですよ。筆者の趣味ですよ(笑)。
 そもそもバンシーを書こうとしたのは、「モリガンもデュラハンも書いたし、バンシーも」というのはあったのですが、書いてみて、一般的なバンシーとは違うイメージのバンシーが書けたのは面白かったです。なんだろ、「手の掛かる妹」キャラ? でもちょっと喜怒哀楽激しすぎて、「萌え」までいかない?(笑)。まぁそもそも筆者にロリ趣味は無い(はず)ので、この手のキャラでも萌え対象になるのかどうかまでは・・・いや、絶対いそうだな萌えられる人は(笑)
 余談ですが、今回の話は最初、モリガンとデュラハンを交えて四人で麻雀をしているシーンを先に思いついていました。麻雀をしながら、バンシーがやたらと「ポン」「チー」「カン」ばかりを繰り返すという・・・麻雀が判らない人には「オチ」の意味が判らないだろうなと思ってボツにしました(笑)。

目次へ