ハリティー

【解説】
 訶梨帝母。日本では「鬼子母神」の名で知られているヤクシニー(夜叉(ヤクシャ)の女性版)。
 千の子を産み落としたヤクシニーであったが、自分の子供達を可愛がる一方で、人間の子供を好んで食べる悪鬼でもあった。そんなハリティーを改心させようと、仏陀はハリティーが最も可愛がっていた末の子を隠した。するとハリティーは末子のいない悲しさに、狂わんばかりに嘆いた。そこを仏陀が「千人のうちの一子を失うもかくの如し。いわんや人の一子を食らうとき、その父母の嘆きやいかん(千人も子供がいても、一人失うだけでそれほどにまで悲しいものだ。ならば、たった一人の子を食べられたその両親の嘆きも理解出来るであろう?)」と戒め諭した。それからハリティーは改心し、人間の子供を食べる代わりにザクロを食べるようになり、安産と育児の女神へと昇華した。
 ヤクシャおよびヤクシニーは仏教で言う鬼の事。日本では夜叉として悪者のイメージが強いが、必ずしも「悪」というわけではない。伝える神話や民話によっては人に対し良き鬼である事も珍しくない。日本に伝わっている鬼にも様々いるように、ヤクシャ,ヤクシニーも様々なタイプがいるのだ。

【設定】
 ライラと同じく、知人の懐妊をきっかけに思いついた話です。女神ですが、ライラと違いフレンドリーなのは筆者の好みです(笑)。なんとなくですが、インド系の神や悪魔って、みんなフレンドリーな気がするんですよね。なんというか、何時でも何処でも、戦う時ですら踊ってるっていう記述が多いからなのかなぁ。「鬼子母神」って言うと敬い奉りたい気がするんですけど、「ハリティー」ってなるとお友達になりたい気になるんですよね(笑)。
 作中にザクロが登場するのは、上記にもある通り子供の代わりにハリティーがザクロを食べるようになるからですが・・・みなさん、「ザクロ」ってすぐイメージ湧きますか? よく小説などではザクロを人の頭(が割れたところ)の表現として使われやすいですが・・・実際にザクロを見て食べた事ある人って少ない気がします。筆者も実際にザクロを食べた事があるのは2,3度しかないです。地域によっては珍しくないと思うのですが、都心だとあまりお店で見かけない果物ですよね、ザクロって。あまりにザクロを比喩に使う表現が小説で目立ちますが、ちゃんと理解している読者は若くなればなるほど少ないような気がして、乱用はどうなのかなぁって最近思ったりしています。
 ザクロは日本だと、健康食品としてジュースになって飲まれる事が多いようですね。女性にとって美容と健康に良い成分が多分に含まれているそうで、女性ホルモンのバランスを整えてくれるとか。なので安産の女神であるハリティーがザクロを食べるのは理に適っている・・・んですが、偶然でしょうね(笑)。
 最後に「鬼のオムツ」が出てきますが、これはもちろん「鬼のパンツ」に対するオマージュです。ハリティーは鬼(ヤクシニー)なのでね。なんとなーく、「うる星やつら」に登場するテンというキャラクターが履いているパンツを想像してしまいますが・・・彼なら五年は履いてそうだ(笑)。

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