レプラホーン

【解説】
 アイルランドに住む妖精の靴屋。レプラコーンとも呼ばれる。身長は1mほどの小人で、まんま人間の靴屋と同じような姿をした老人のような容姿をしている。
 グリム童話の「小人の靴屋さん」のモデルとなった妖精で、グリム童話では貧しい靴屋が制作途中の靴を置いたまま寝てしまったら、その靴を妖精が完成させるという話が書かれている。一般的にはこの話から「寝ている間に親切な妖精が仕事を手伝ってくれる」というエピソードとしてたとえ話などに用いるが、レプラホーンはそのような親切な妖精ではない。
 レプラホーンは人里離れた場所に秘密の作業場を設け、靴を作っていると言われている。彼らは見つからないようにしているが、耳を澄ますとコンコンと靴を作る音がするので、見つける時には音を頼りにすると良い。運良くレプラホーンを見つけ出せた捕まえられた者は、レプラホーンから財宝のありかを聞き出せる、という話もある。
 彼らは何故か、靴を片方しか作らない。そもそもレプラホーンという名前自体が「片方の靴」の意の「レイヴローガン」から派生したものとされている。また作る靴は作中では木靴になっているが、本来はごく普通の靴。また同じく作中ではレプラホーンが複数登場しているが、基本的にレプラホーンは個人で活動をしている妖精である。
 また同じアイルランドの妖精に「クルラホーン」という酒好きの酔っぱらい妖精もいるが、このクルラホーンは仕事終わりのレプラホーンが酒を飲んだ姿だ、とも言われている。

【設定】
 筆者はどうにも、ひねた性格をしているので、グリム童話で有名になったレプラホーンの話をいじってみたくなったんですよね。そして出来た話がこれです。
 上記にある通り、本来のレプラホーンは人里離れたところに住む、しかも単独で暮らす妖精なので、わざわざ人前に出て集団で靴を作るなんて事はしません。ですがレプラホーンは小人の例にも妖精の例にも漏れず、イタズラ好きなのと、グリム童話では複数登場しているのでこのような話にしました。
 あと制作中の靴をあえて木靴にしたのは、単純に「うるさくて邪魔だろうな」と想像しやすいだろうということから。集団でいるのは皮肉りたかったグリム童話が集団で登場しているからです。
 イタズラ好きの妖精達を書くのは好きなんです。なんか楽しそうなので。でも実際にこのイタズラの被害にあったら・・・切れるかもね(笑)。

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