モリガン

【解説】
 モリーアン,モーリアン,モリーユーとも呼ばれるケルト神話の女神で、(三姉妹そろって)ヌァザの妃。一説では人妻ながらダグザの愛人をやっていたとも言われています。また別の説ではヌァザと一夜を共にする度に勝利をもたらしただけで妃ではない、ともされています。
 戦いの女神なのですが、血と死を求め、カラス(あるいは灰色のカラスやカンムリ鳥)の姿で戦場を駆け回ったとされていることから、邪神とされることもあります。また美しい乙女の姿の他、老婆,牛,狼,海蛇などにも姿を変えます。呼び名も「大いなる女王」から「カラスの女王」「戦の魔女」「誘惑者」など様々あります。
 モリガンはバイヴ・カハ(戦カラス)三姉妹の長女で、次女ネヴァン,三女マッハと共に行動をしていましたが、後に妹二人は夫ヌァザと共に戦死。その後は一人で行動することになります。
 一人になったモリガンはケルト神話の英雄クーフーリン(ク・ホリン)に恋心を抱きますが、寵愛を断られます。怒った彼女は、様々な形でクーフーリンを妨害しますが、自身も傷ついてしまいます。その時にクーフーリン本人から傷を癒され、以後は彼のサポートに回ることになります(ですが、彼女自身はけしてクーフーリンの前に姿を現しません)。そしてクーフーリンが戦場で散った際には、カラスの姿で彼の肩に留まった。
 戦の女神としては、気に入った戦士に力を与える代わりに、血と死を求め常に戦場へと導きます。
 またモリガンは、アーサー王伝説に登場するモルガン(モルガン・ル・フェ)のモデルになっています。

【設定】
 こちらも「名前だけ有名になった女神」というくくりで三つの話を書き上げた内の一つ。格闘ゲーム「ヴァンパイア」シリーズのモリガンはあまりにも有名ですが、女神モリガンとは随分イメージが違いますよね。というか、あっちはサキュバスだからなぁ。でも好みで言えばゲームのモリガンが大好きです(笑)。
 話の方は、もう単純にゲームのモリガンを引き合いに出して比較した話になっていますね。イメージ的には、もっと若々しい話し方でも良かったと思うのですが、やはりどうしてもゲームのモリガンとイメージが被るのを避けたかったので、ちょっと威厳のこもった話し方にしました。でもちょっとゲームのモリガンの要素も入れたかったので「色気」も出してみましたが・・・こういう余計なことをするのが好きな筆者で申し訳ない(苦笑)。どうしても、女性型の悪魔や妖精,女神には「色気」を加えたくなるんですよぉ。
 解説にも書きましたが、モリガンの話はクーフーリンの英雄伝に登場する話が一番有名です。これはなかなか面白い話なので、興味のある方は是非。むしろモリガンよりクーフーリンに注目して欲しい話ですけどね。
 ところで、彼女はバイヴ・カハという戦カラスの長女なのですが・・・バイヴ・カハは知っていても三姉妹だったというのを知らない人は多いかな?余談ですが、次女ネヴァンはバンシーに、三女マッハはデュラハンに変化していったとされているんですが・・・全然違うやん(笑)。ちなみにモリガンはベンニーヤという日本ではマイナーな妖精になっており、三人とも「死を告げる妖精」という共通点があります。

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